君が可愛すぎてつい! | ナノ


「風丸君来てくれたんだねっ!!!」
「げっ」

俺は目の前に舞い降りてきた(決して表現は間違っていない)自称神に抱き締められた。
とてもいい匂いがする。いやそんなことはどうでもいい。


「は、離れろ!!!」
「照れちゃって可愛いね…でも大丈夫」


ここには人はこないから!


笑顔でそんなことを言われても困る。
何よりその人が来ないところに何でお前がいるんだ、そう問うと自称神、アフロディは答えた。


「だって、その手紙書いたの僕だもの」
「えっ」


俺が今もっているこの可愛らしい手紙…今朝、下駄箱に入っていたものだ。
『放課後、体育館倉庫裏で待っています』とだけ書かれたこの手紙に俺が一体どれほど期待したか…
まさかアフロディが書いたものだとは思わなかった。軽いショックで大きな溜息をつく。畜生。
そんな俺の顔を見てアフロディは慌てて言った。


「ご、ごめん!倉庫裏は駄目だった?」
「違う!俺だって男なんだよ!!」
「?」


確かに目の前のこいつほどではないが俺だって女顔だということは自覚している。
だが中身は至って普通の中学生男子だぞ。
大体なんでこいつは俺なんかに構うんだ。意味が分からない。
そのときアフロディは暫く考え込むような素振りを見せたと思ったら、
いつになく真剣な面持ちで俺の顎に手をやり軽く上に向けさせた。
性格はどうしようもないが顔はとてつもなく綺麗なので思わずたじろいてしまいそうになる。


「ごめんね風丸君」
「も、もういいって…離せよ」
「やだ」
「は…」


アフロディはぐっと顔を近づけてこう言った。


「僕、こういうベタな告白がしてみたかったんだ。」
「え?」


そうしてアフロディは俺の唇に自分の唇を押し付けて、


「えっと…好きです、付き合ってください」


綺麗に笑ってそう告げた。

「そ…」
「そ?」


「そういうのはキスの前に言うことだろ!!」


思わず俺がそう叫ぶと一瞬驚いたな顔をして、直ぐに満面の笑顔で言った。


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