ぼくのたいせつなぼく | ナノ


「…いつまでいるつもりだ」
「さあ?」


俺はもうエイリア石の力なんてかけらも興味が無いし、
あんな力で高みに登った自分に戻りたいなんてことも考えてなどいない。
なら何故お前は消えない?
もう一人の俺…一緒になどされたくないが俺から生まれた物なのだから仕方ない。
闇丸と呼ばれているそいつは俺とは別の物体としていまここに居る。
俺への戒めなのか、そう問うと闇丸はけらけらと笑った。


「戒めなんてお前には必要ないじゃないか。お前はもう昔の自分と決別した」
「なら、何故お前は」


そこまで言うと闇丸は俺よりか幾分暗い瞳を綺麗に細めて言うのだ


「俺がお前を求めているからさ」
「…意味が分からない…」


頭を抱えた俺を見て滑稽だとでも思ったのか闇丸はまた笑いながら
俺の前に座った。
重力に逆らった髪の毛がフワリと動く。
闇丸は(少しやつれてはいるが)俺と全く同じ顔を俺の直ぐ前に持ってきた。


「キス、したい」
「はっ…!?おい、ちょ!」


途端抱きしめられた体が傾いた。
視界が90度変ったかと思えばすでに闇丸の舌は俺の口内を犯していた。


「んむ、ん、ふぅっ」


どれだけ重ねていただろうか。
ようやく開放され、反論しようとして虚ろに滲んだ視界で闇丸の色っぽい表情を直視してしまった。
自分の顔なのに思わずドキリとしてしまった。
俺もあんな顔をしているなんて想像がつかない。…けど
こいつは
俺から生まれて
苦しんでる俺から憎しみと悲しみとか、つらい感情を全部全部持っていってくれて、
俺を今の俺へと導いてくれて、
やはりこいつも俺なのだ。
さっきとは裏腹に、寂しげに細められた瞳が俺を見つめた。
すがるように俺にまとわりつく腕が力を増す。


「否定、しないで」
「うん」
「拒絶しないで」
「うん、お前は俺だ」
「風丸、だいすき」
「…俺もだよ、ありがとう風丸。」


ポツリと一言呟いてやると、風丸は心底幸せそうな笑みを浮かべて笑った。
相変わらず癖のある笑い方だ。どうにも人を嘲笑しているように見える風丸の笑い方。
次会った時は直すように言ってやろうか、


「…風丸、」


俺の腕の中にはアイツの温度だけが残っていた。




















もう涼条の文は電波だと理解してください(笑)
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