待ち人来たる | ナノ
私によく似た長い髪、
私によく似た青い色、
私の好きな緋色の目。

その少年はどちらかというと少女のような容姿をしているのだが、
少年サッカーの大会に出ているのだから否定の仕様が無い。
もうすぐ会える、とはこの事だったのか。
私は一人考えた。

幼いときにたった一度会ったことがある親戚の男の子。
従兄弟に当たるのだろうか。よく分からないがその可愛らしい姿がかれこれ10年程脳裏に焼きついて離れなかったのだ。
てっきり女の子だと思っていた。もっと年下だとも思っていた。
なんでも日本という国に住んでいるらしい。
会いたくても絶対にあえない物理的な距離。
私はは大きな溜息をついた。


(嗚呼、嗚呼会いたい。会って、彼に触れたい。)


そんな時、自分も出場する少年サッカーの大きな大会で奇跡は起きた。
とても遠い極東の地で行われている世界大会予選。
あの人が言っていた「面白いもの」の意味が分かった気がする。


(名前は、確か…)


勉学には励んでいるつもりだが日本の「カンジ」という物は未だに理解できない。
叔母様が私に教えてくれたたった一筆の文字が私の彼に関する知識の全てだった。


「…イチ」


私の呟きはこの液晶画面の向こうには届かないけれど、
彼は未だ私の事には気づいていないけれど。


私はひたすら彼の名を呼び、彼が美しく舞う姿を目に焼き付けていた。
もう直ぐ、もう直ぐ、会えるのだ。




待ち人来たる



「…敵チームを此処まで応援するのもどうなのだろうか。」

エド風を描きたくて書きたくて仕方なかったのですが何だこれ。
兄弟よりも従兄弟くらいの距離の方が公式との差が開き過ぎなくていいかなあと思ったんですが…どうなんでしょう?
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