何より鮮やかな君の色 | ナノ
ぱらりぱらりと乾いた紙の音。
あとは二人分の息遣い。
風丸が貸してほしいと言ったサッカー雑誌のバックナンバーを5冊渡したのが30分前。
愛しい恋人はこちらを見ることも無く熱心に雑誌を読みふけっている。
真面目な風丸のことだ。
隅からすみまで丁寧に読んで、頭の中でしっかりとイメージトレーニングをして。
いい加減俺にも飽きと言うものが来る。
俺が座っているソファ少し離れた机に雑誌を広げ熱心に読んでいる風丸との距離。
ああ、もどかしい。
ときどきサラサラと流れる蒼から目が離せないのはいつもの事だ。
触れたい。あの美しい髪に、風丸に触れたい。
「風丸」
「何だ?」
「今、何処見てるんだ?
「ああ、バナナシュートって難しいかなあって。」
ひらひらと雑誌をこちらに見せる風丸。
一ついいことを思いついた。
「なんなら教えてやろうか」
「え?できんのか豪炎寺」
「まあな」
伊達に小さいときからボールを蹴ってたわけじゃない。
「じゃあ今度教えてくれよ!」
「ああ、いいぞ」
「ありがとう!」
「ただし」
「へ?」
ぽんぽんと自らの太腿を叩き風丸の方を見つめる
風丸はと言えば頭上に「?」を浮かべている、そういう表現が似合うような表情をしていた。
そんな風丸に対して一言。
「おいで」
「んなっ!」
言葉とジェスチャーで意味を理解したのか風丸がぶわっと赤くなる。
「覚えたいんだろ?バナナシュート」
「…悪趣味なやつ…」
「悪趣味な俺のことが好きなお前も悪趣味だぜ」
「うるさいな」
「いいだろ別に。お前に触れたかったんだ」
「……そうかよ…」
消え入りそうな声と真っ赤な耳。
かわいいなと素直に言葉にしたら太腿に拳を叩きつけられた。
色っぽい項が見えなくなるのは少し残念だが失礼して高い位置で結い上げられている
ポニーテールのゴムをはずす。
ばさりと落ちた浅葱色。いつも見るこの色は俺の目に何よりも鮮明に写ってる。
「なあ、本当に教えてくれよ…?」
「当たり前だ」
「なら良いんだけどさ…」
恥ずかしさからか少し肩を寄せて小さくなった風丸の髪からはふわりとシャンプーの匂いがして。
俺は引き寄せられるように顔を埋めた。
何より鮮やかな君の色
極彩色など目ではない
4万打リクの豪風甘々でした。
二人っきりのときは風丸さんに甘えたおす豪炎寺って可愛いと思います(´エ`*)
お互い甘えながらいっちゃいっちゃ一日を過ごしてほしい物です…じゅるり。
リクエスト有難う御座いました!!