宇宙なら此処にある | ナノ

「俺、宇宙人になりたかったんだ。」


あむがぽつりと呟いた。
我は少し驚きあむを見る。


「どうした?唐突に。」


あむは目を伏せがちに窓へ近づいていった。


「宇宙に行きたかったんだ。」


あの石を使ったことを悔やむような表情が見て取れた。


「空が、すきなんだ」


俺達はちっぽけだ、そう言葉を落とすあむが本当に小さく見えて。
我は咄嗟にあむを抱きしめていた。


「どうした?レーゼ。」
「なら我があむの宇宙となろう。」


あむは目をぱちくりとさせて難しいと呟いた。


「あむのすべてを包みこむ宇宙となろう」
「うちゅう…」


我ながら恥ずかしいセリフを言えたものだと思ったが
嬉しそうに我の腕に顔をうずめるあむを見ていたらそれでもいいという気持ちになった。

我がこの純真無垢な心を護るのだ。


宇宙ならここにある
お前だけのソラが。
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