HAPPY,HAPPY! | ナノ

『ハッピーバースデー!ヒート!』



風習と化したその歌を歌い、皆でわあああっと拍手をして、
キン、とグラスのぶつかり合う音がした。
その真ん中には白い髪に蒼い目をした少年。

本名は、無い。

エイリア学園は孤児院なので誕生日が分からない子供がたくさんいる(分かっている方が珍しい)
なので皆で決めた誕生日を、皆で精一杯祝うのが約束で、普通のことだった。

「ヒートー!これ俺とネロちんとクィールでつくったんだー」
「俺の人形?ありがとうディアム!」

「ケーキは僕とメトちゃんが頑張ったんやでー!」
「美味しいといいんですけど」

「ハピバ!ヒート!これアタシから」
「ありがとうレアン」


皆が各々準備したプレゼントをヒートはとても幸せそうに受け取っていた。
複雑な顔をした少年が一人。


「どうしたの晴矢?」


晴矢と呼ばれたその少年より少し蛍光色な赤い髪をした少年、ヒロトが晴矢に問いかける。


「別に…たださ、こんなプレゼントでアイツ喜ぶかなあ」
「大丈夫大丈夫。自身持ちなよ♪」
「んー…でも俺これ以外に何も用意してないし」
「晴矢だけ3日徹夜して最後まで考えてたじゃん」
「でも…」


すると白髪の少年がすぅっと寄って来て晴矢に一言。


「こういうときに静かにしているお前なんて気持ち悪いだけだぞ」
「ンだとやんのかコラァ!!」
「風介もいきなりケンカ売るのやめなよーほら、もう皆プレゼント渡し終わったみたいだよ?」


ヒロトのその言葉にハっとなった二人は顔を見合わせ、こくりと頷きあった。


「いくぞヒロト、風介」
「指図するな馬鹿」
「まあまあ、でも守グッズのほうが絶対に喜ぶと思うんだけどなあ」
「「それは無い」」


そんな話をしながら3人はヒートのほうへ。


「ヒート」
「何だ?晴矢」
「ここにいる俺たち全員で考えたプレゼントなんだけど…」
「全員?」

そうヒートが問いかければあちこちから肯定の言葉が聞こえてくる。


不思議そうな顔をしているヒートに晴矢は板チョコくらいの大きさの板をさしだした。
それはいわゆるネームプレートという物。
そしてそこに書いてあったのは、


「厚石…茂人?何だこれ?」
「それで、あついししげとって読むんだよ」


ヒロトが返事を返すとヒートはぱちくりと目を瞬いた。


「これって…」
「いや…ヒートって本名知らないっていうから…皆で決めたんだ。」
「これからは誕生日には本名をプレゼントするんだ。貴様は第一号だ。」


晴矢と風介の言葉にヒートは大きく目を見開いて
それからその目に涙を溢れさせた。


「!?ヒート!?嫌だったか…!?」
「そうじゃないんだ、そうじゃなくて…嬉しくて」


皆ありがとう。とヒートが言えばこう答えが返ってくるのだ。









「だって、家族だろ?」











HAPPY,HAPPY!
家族で分ける、今日の幸せ。

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