今日もわたくしはいつも通り7両目で挑戦者を待っている。大体の挑戦者はわたくしに辿り着く前に途中下車するのですが、最近は違いました


ガラリと開く扉に目を向けると、最近の楽しみが立っていました


『ノボリさん!今日こそは負けませんよ!』
「…また来たのですか」


貴女も懲りないですねと付け足せば、笑顔で当たり前です!と言いのける彼女こそ、わたくしの最近の楽しみ

彼女はナマエ様といって何処にでもいるようなトレーナーです。特にバトルが強いわけでも無ければ、ポケモンが強いわけでも無い

まあだから未だにシングルトレインにいるんでしょうが

ただ、ナマエ様はこの21戦目には必ず辿り着く。そして確実に強くなっていくのです















『ま、負けました…』
「わたくしは負けませんから」

まあ強くなっていると言っても今日もわたくしには勝てませんでした。ですが、負けそうになったのは事実。正直焦りました


『で、でも!ノボリさん新しいポケモン出しましたし!』
「負け惜しみはいけませんよ」
『うう、また明日来ます!』「ここまで辿り着けますか?」
『大丈夫です!』


何で負けたんだ、ていうかシャンデラとか初めて使ってたし!等とブツブツ言いながら電車を降りるナマエ様

ナマエ様が電車を降りた所で丁度お昼になり、昼食を採るためにホームに降りるとクダリが立っていた


「ノボリ、今の勝負見てたよ」

そういいながらにやにや笑うクダリ
何なんですか一体


「シングルトレインではシャンデラ使わないんじゃないの?」
「…関係ないでしょう」
「ナマエの事好きなくせに素直じゃないよね」


そう言い放つクダリの言葉に一瞬耳を疑った

「クダリ、いつからナマエ様を呼び捨てで?」
わたくしの記憶が正しければ、ナマエ様とクダリはそこまで仲良くないはずです

そう思い問いかけるとクダリは楽しそうに笑った


「この間ギアステーションで会ったとき、ダブルに挑戦しないか、誘った」

その時から、と言うクダリ


「、それで?」
「『ごめんなさい。私どうしてもシングルがいいんです!』だって」
「そう、ですか…」


柄にもなくホッとした
クダリとナマエ様が、なんて考えただけでもドロドロとした感情が沸き上がってきます


「いい加減、素直になりなよね」


最後にそう言ってクダリは行ってしまった。素直になれと言われても、わたくしは彼女を繋ぎ止めることに必死なのです

彼女はシングルをクリアしたらスーパーシングルに行くだろう。だけどそこでわたくしに会える確率は極めて低い


だからどうしても、ここで負けるわけにはいかない

だけど、クダリの言うように素直になって気持ちを伝えれば一緒に入ることは可能なのでしょうか。それならわたくしは、


この想いを今すぐぶつけて君をわたくしだけのものにしましょうか

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