最近思う事がある。

神様という奴は激しく面食いなのではないか、と。

何故そんな事を思いだしたのかと言うと、私の目の前にいる男が100%原因なのだが。




「神様って不平等だね」


私は新宿にあるマンションの一角で、三角座りをしながら呟いた。


「あれ、名前ってキリスト教徒じゃなかったっけ?」


すぐ傍にあるソファーで仮眠をとろうと横になっている臨也が瞼に腕を乗せながら喋った。

コイツこそが、私の神様面食い論の発祥原因である。


「母親はキリスト教徒だよ。私はそういう固定観念を持つのが怖いから無宗教」

「へぇ、そうだったんだ。で、何で不平等だと思うわけ?」

「臨也だよ」

「は?」

「臨也は、神様に愛されて生まれてきたんだなぁと思って」

「なにそれ」


臨也はハハッと笑った。

なにそれ、じゃないよ。横になってる姿ですら格好良いだなんて、反則じゃない。


「馬鹿みたいに頭良すぎだし」

「馬鹿は止めて欲しいかな」

「何しても様になるし」

「それは褒められてるよね、ありがとう」

「性格すんごい腐っててもまだ死ぬ気配すらないし」

「それは褒められてないよね、分かってたけど」

「臨也が格好良いから臨也にたくさんのプレゼントをした。やっぱり神様って面食いなんだよ」

「で、結論はそれなんだ」

「うん」


私がコクリお頷くと、臨也は瞼の上に乗せていた腕を頭の上にまで押しやり、乗せていなかった右手で私を手招きした。

私がふらふらと立ち上がり臨也に近付くと、臨也に腕をぐいっと引っ張られた。


「ひ、ゃ――――」

「軽いね、相変わらず」


そして私は臨也の上にダイビングしてしまった。

軽いわけがないだろう。私、贅肉だるだるだよ。

臨也に悪くて臨也の上からどこうとしたが、臨也の腕がそれを許さなかった。


「俺はどちらかと言えば神様には嫌われてると思うよ」


臨也の規則正しい鼓動を聞きながら臨也の話を聞く。

触れ合う人肌が心地好い。


「頭が良いのは実家に居る時に勉強させられてたから」

「………うん」

「何しても様になるのは名前がそう見えてるだけ」

「…そうかな」

「性格腐ってても死なないのは、名前が居るから意地でも死ねないだけ」

「……うん」

「だから俺は神様にじゃなくて」


臨也が私の髪をさらりと撫でた。




「俺は名前に愛されてるから、こんなに毎日呼吸をする事が幸せなんだと思うよ」



あぁ、やっぱりずるい。こんな一言で私の涙腺を意味を成さなくしてしまうんだもの。


「何泣いてるの」

「っ…臨也の、馬鹿…」

「だから馬鹿はやめてよ」

「でもっ……仕方ないから、一生愛してあげる…っ」


私がそう呟くと、臨也は私の顎を掬った。


「それなら俺は、一生愛されてあげるよ」



そう言って臨也は、私の唇に甘いキスを落とした。




declare war on GOD!!(神様に宣戦布告!)



そうだよね、神様なんかに臨也を愛させてあげないんだから。

来世になっても負けないよ、
神様。


20100707.林田
(訂正:20101002)




臨也きゅん、甘し!(笑)



title:唇にナイフ様より