――…ん…?
うっすらと目を開けた蓮夜の目に飛び込んだのは、臨也のドアップだった。
――…ああ、そうか。昨日臨也の家に泊まったんだっけ?
蓮夜はふぁ、と欠伸をすると、隣で寝ている臨也を起こさない様にベッドから降りた。
蓮夜がリビングに行くと、綺麗な女の人が立たずんでいた。
「あー…えーっと?」
「あら、失礼。まさか臨也が女を連れ込んでいるとは」
「いやあの、ストップ。私は臨也の女ではない」
「あら、そう?明らかに情事後っぽい格好だったので」
「あ」
蓮夜は自分の格好を見て、忘れてた、という様な顔をした。
「あー…まぁ取り敢えず、違うので。失礼ですが、あなたは一体?」
「私は矢霧波江。臨也の部下とでも言っておくわ。貴女は?」
――…部下?臨也ってそんなの取る人間だったっけ?
「私は神谷蓮夜。臨也のオトモダチとでも言っておきます」
蓮夜が名前を名乗ると、波江は人差し指と親指を顎に当てた。
「蓮夜…?もしかして貴女、万事屋アカガミさんかしら?」
「おっと…、その名前を知ってらっしゃるとは、流石臨也の部下ですね」
「臨也がよく口にするのでね。まぁそうじゃなくても有名よ。貴女は」
ガチャ――……
寝室のドアが開いた。
「ん…?蓮夜、帰るの…………って波江も居るのか」
臨也が青白い顔で、のそのそと出て来た。
「あら、居たら悪かったかしら」
「俺と蓮夜のラブタイムが」
「キモいウザい死ね臨也」
「これは手厳しい」
蓮夜は臨也をさらっとスルーすると徐にソファーに向かい、ソファーの上に置いてある服に着替え出した。
二人の前で。
「あの子…羞恥心という物を持ち合わせてないのかしら」
流石の波江も驚いている。しかし蓮夜と臨也にとってこの光景は特に不思議な物では無いのだ。
「あぁ、蓮夜はいつもこうだよ」
「臨也、ブラジャーは?」
「一番下」
「あ、あったあった」
「…貴方達、本当に恋人じゃないの?」
波江は眉間にシワを寄せて臨也に質問した。彼女の質問は常人ならば普通に抱く疑問だろう。
臨也はにやりと笑うと答えた。
「トモダチ以上、恋人以上だからね」
俺と、蓮夜は。
20100810.林田