がちっと背後から腰に両手を回す。少しだけ触れ合った腕の温度がみるみる上がっていく。風丸さん。やたらと上ずった声。どうしたでやんすか。動揺した声。いつになったら慣れるんだろう?そういうところが面白くて、可愛い。 「別に。こうしたくなったから。気持ちいーんだよ、栗松抱くの」 「だっ」 拘束した身体が意味ありげにびくりと跳ねて、それからそろそろと探るような目線がこちらに向けられる。小さな身体をますますぴったりと抱き寄せて、頭の上に顎を乗せるまでに密着してみた。直接顔は見えないけど、きっとあほみたいに赤面しているに違いない。 「かぜまるさぁん」 とろけるような音。身体中から空気が抜けるような音。俯く表情を逃がしたくない。右手を顎に当てて、乱暴に上を向かせる。栗松はきゅっと両目を瞑る。それは拒否の行動なのか、それとも。 「可愛いなあ、おまえ」 俺のその一言がどれだけの意味を持つのかを俺は知っている。 心臓が跳ね上がって、身体が熱くなって、布団の中で何度も思い出して、それから。 「だけど、意気地なしだな」 はやく本当のこと言えよ。 なんて。 こちらからは絶対に言ってやらないと意地になる俺もまた、狡さの塊みたいな意気地なし。 |