2011/03/21 22:57

俺、いつか栗松くんのこと殺しちゃいそう。正面から君の身体をすっぽりと俺の腕の中に収め、耳たぶにむしゃぶりつきながら囁いた。俺だけのものにしたくてたまらないんだ、ずっと。背中から服の中に手を差し入れる。さらさらとした肌の感触が気持ちよくて、思わず鳥肌が立つのを感じた。いいでやんすよ、別に。事も無げに君は答えた。俺の背中に回された小さな手が、強く俺の身体を締め付けようと力を入れる。ああ、なんて気持ちが良くてもどかしい。このままひとつになっちゃえばいいのにな。今までに一体何度思ったかわからない。栗松くん、俺のものになって。俺だけのものになってよ。俺、栗松くんのこと食べちゃいたいくらい好きだよ。でこぼこした耳の中の窪み、ぱっちりと開いた目、柔らかく息が漏れる鼻。君の身体の隅々までをゆっくりと舌で味わうのが、俺にとって世界で一番幸せな時間だ。ああ、もっとひとつになれたらいいのになあ。試しにふっくらとした頬に齧りついてみた。君の頬にくっきりと歯形が残って、少しだけ赤く血が滲んだ。俺だけの印をつけたみたい。すごく気持ちが高ぶって、身体中が熱を持つのを感じる。ね、栗松くん、このキズ、何て言う?これどうしたのって、誰かに聞かれたら栗松くんは何て答える?君は相変わらず俺の身体にしがみついたまま答えた。食べられちゃいそうになったって言うでやんすよ。俺のことは?ちゃんと俺に食べられそうになったって言ってよ!それは言えないでやんすよ。そっか、そうだよね。そういう約束だもんね。ごめんね。でもさ、もしも、もしもだよ。他の誰かがこの歯形をつけたふりして成り済まそうったってそんなことはできないよね。俺の歯形は世界でひとつだもんね。ちゃんと調べたら俺のだって絶対にわかるもんね。唾液の検査だってできるかもしれない。だからこれは栗松くんは俺のものだって印になるよね?栗松くんにこんなことできるのは俺以外にいないもんね?だからこれは栗松くんが俺のものだっていう証明になるよね?あ、もしかしてこれって結婚指輪みたいじゃない?ううん、結婚指輪なんかよりももっとすごいよ!だって、指輪なんて誰のものだか証明することできるものじゃないし、外すことだってできちゃうただのモノだもん。だから、栗松くんの顔につけた俺の歯形の方がずっと、ずっとずっと、栗松くんは俺のものなんだって証明になるよね。ね。そうだよね。

いつか君にこう尋ねたことがある。栗松くんは嫌じゃない?俺のこと、嫌だって思わない?気持ち悪いとか、怖いとか、そんな風に思わないの?君はいつものようににっこりと笑って答えてくれた。全然思わないでやんすよ。だって、全部わかってて好きになったんでやんすから、ヒロトさんのこと。君は俺の手を取り、突き出た前歯で印をつけた。左手の薬指、根元にじんわりと気持ちの良い痛みが広がった。








--------------
愛をこじらせたふたり(^o^)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -