大丈夫だよ、怖がっちゃダメだよ
私がいるから大丈夫だよと紫円ちゃんが笑った
オレの頬を撫でてふわりと笑う紫円ちゃんの頭を撫でる。
誤魔化すように笑みを見せると紫円ちゃんは頬を膨らませた
そんなことしても怖くない。むしろ可愛いのに

『ファイお兄ちゃんは、ユゥイお兄ちゃん。
怖がってる。自分自身に驚いてるよね、自分でひいたラインを越えようとしてるから』

見透かすキミの目が嫌い
オレを視る君の目が大嫌い

だから、オレは今日も君に嘘をつく

「怖くないよー」

へらりと笑えば紫円ちゃんは不機嫌そうな顔をしてうつむく。
その仕草が逆に可愛いく思えて来るオレは相当危ない人なのだろうか。

『・・・ファイおにいちゃん』
「んー?」

オレの服のすそをきゅう、と握ってまた俺を見上げる紫円ちゃん。
その瞳がきらきらと輝いていて、少しうらやましくなった

『だいじょうぶ、こわくないよ』

すっと小さな手がオレの頬に触れた
暖かい。とても暖かくて、優しい

紫円ちゃんの唇が、オレの左目元にふれた

『おまじない』

そう言ってかなしげに笑う紫円ちゃんのその笑顔の意味を知るのはまだ先のお話



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