「今日はですねぇ、図書館から中継ですー。解説の笹原さん、どうもー。」
勉強中の秋良さんの実況を小声でしてみよう!というどうにもくだらない考案をした、ハルさん。
目をぎょろり、と回して僕の方を見る。ひぃ、何ヵ月経ってもどうにもこの目玉には慣れんわぁ。
「解説の笹原です。こんなくだらんこと一刻も早くやめるべきやと思うんですけどねぇ。」
「なぜですか!笹原さん、分かりますか?あきよしさん無しの私たち二人!二人で何が出来ましょうか!」
否、何も出来ない!ババ抜きやUNOなんてもんも楽しくないでしょう!
バンッと机を叩いて実に迫真の演技をしてみせるハルさん。
もうすでに小声じゃないことに気付かんのけ。
ちゅうかよう、こんな大声出しよったらそろそろ…あ。
「ハルさん。図書館ではお静かに、やろ?」
口だけ笑って、目が本気と書いてマジな秋良さんが分厚い辞書を構えて立っていた。
あかん、明らかに怒ってはるわ。いや、秋良にかけた訳ではなくてですね。
「ひ、ひひ。いや、あきよしさんが勉強してんの、見守っとこうと思いましてね?」
黒目をキョロキョロ動かして必死に言い訳を考えるけど、時すでに遅しなわけで。
ちゅうか、あきよしさん、言うた時点で完璧アウトなわけでして。
「その勉強の邪魔やぁ言うとんねん!」
振り下ろされた辞書がハルさんの脳天を直撃する瞬間、170cm近いハルさんの長身がさらに少し伸びて、あぁ、今日も芸人魂がきらめいてんなぁと思わず感心してしまったわけなんですわ。
「いったぁああああ!」
今日も仙石学園は平和です。
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