はろー、はろー。
風が気持ちいい。ここは屋上。わたくしの特等席です。
はろー、はろー。
鳥さんにご挨拶。どもども、ハルでございますよー。
ぱらぱらり
ポンポン菓子をまく。
「ハルさん、ご飯食べへんの。」
後ろからそう声をかけられる。疑問文なのかどうか分からないこの抑揚のない話し方。は、あきよしさんだ。
「あきよしさん!わたくしはもう、食べおわったのです。あきよしさんと笹原が遅いので!」
ぶわっと風が髪を揺らす。
わたくしが後ろを振り向けば、あきよしさんは困ったように笑っていた。謝っても許さんぜ。
「まず、あきよしちゃうし。」
おっと、地雷を踏んだようだ。
謝るのはわたくしのようです。
「俺の名前は、あきら、なんですけど。何ヵ月経ったら覚えてくれるん。」
恐い顔でずかずかと近付くあきよし…あきらさん。おぉっと目がすわっていますよ。
まったく、こうなったら奥の手を出すしかないですな。
「たすけて笹原ぁ!」
「無理無理無理あかんあかんあかん」
いつのまにかドアの向こうに立っていた笹原は顔を引きつらしてそう言った。
ドアがバタンと閉まった。
この裏切り者ぉ!
わたくしの叫びはこだまして鳥さんたちは一斉に飛んでった。
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