「いい加減降りれや。」
「なんでやねん。」
こっちこそなんでやねん。やろ。
まいってる、こいつにはいつも。
「二人乗りって漕ぐ方には地獄でしかないんやからな?分かっとんのか?」
「あーはいはい分かっとる分かってますぅー。」
そう言いながらも降りる気配は微塵も感じられない。
学校からの田んぼの中の帰り道だ。
坂道の上だ。上り坂だ。
こめかみあたりの血管は今にも千切れてしまいそうだ。
「なぁなぁ、明日よぉ、学校さぼろうや。」
「あぁ?なんやて?」
「やからぁ!さぼろうや。おもろいことしようや!」
後ろでそいつが目を輝かせてるのが分かった。
こいつにはまいる。本当に。
でもそんな日があっても悪くはないのかもしれない。
そう思ってしまったなんてのは言わないでおく。
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