「わ、たしが「サヨリ」ですか?」

警察はじっくりと資料らしきものと私を見比べては、頷いた。

「君が、サヨリちゃんじゃないのかね。」

それは嘘をついているような目ではなくて、私は、この世界が狂ったのかと思った。

「この子が、「サヨリ」です。私じゃないです…私じゃない…っ!この子がサヨちゃんです!」

私は西リンコで、ずっと母親に虐待されてて、お兄ちゃんも死んで、ずっと可哀想だった、「リンコ」のはずなのに。
「サヨちゃん」はふわりとカールのかかった髪をなびかせて、泣いていた。それはいつかの「私」のように、「サヨちゃん」に抱き締められながら泣いた「私」のように。
そしてその「サヨちゃん」はぽつりと呟いた。

「何を言っているの、サヨちゃん。」

それは私の記憶の中の「リンコ」の声だった。震えていた。恐ろしいものを見ているような。
そして私は記憶の中の「サヨちゃん」の声と全く同じ声で言った。

「わたし、が、「サヨちゃん」…?」















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