昨日のこのくらいのとき、私は確かにおかしかった。
嫉妬のような感情が溢れてとまらなかった。ここ十数年間の鬱屈した気分を吐き出すような。

帰りの電車の中。また冷たい鉄柱でおでこを冷やす。
みやこ、ごめん。
強がりだって分かってたし、そういうキャラ、だってことも。
それで良いと思ってたし、そんなみやこで良いと思ってたし、今さら素性を暴こうとも思わなかったのだけど。何故だろうか、いやに憎かったのは。
幸せそうに、真友里のことを話すみやこがすごく憎かったのは。

イヤホンから流れてくる洋楽が脳内の隅々に行き渡る。
愛とか友情とかそんな単語だけが浮いて聞こえるような気がした。

多分、きっと、すごく羨ましかったんだろうな。と目をつぶった。
私にはそんな人がいないから。大事に思い合える人が、いないから。なぜか胸の奥に手を突っ込まれたような苦しさがあって、泣きそうになった。
自分から大事な人を作らないようにしていて、なんて身勝手なんだろう。

また、昔のことを思いめぐらせながら少しだけ、泣いた。
お母さん、お父さんとなんで結婚したの?幼い頃、そう聞いたらすごく悲しそうに笑って、飼い馴らされたのよ。と答えた姿を思い出す。
当時は意味の分からない言葉だったけど今ははっきり分かる。
お父さんは私とお母さんを飼い馴らして、檻に放り込んだまま。
もういないのに、私たち二人は出られないまま。

お父さんに似てきたね。
そう言うお母さんはまたあの悲しい顔をしているんだ。

出来るならば違う精子とくっついて生まれたかったと、その時私は申し訳ない気持ちを抱えてそう思う。














×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -