5月5日
私は、体の水分がなくなるくらい、あの一晩で泣いて。サヨちゃんは私の隣できっと一生分くらいの「大丈夫」を言った。
そしてサヨちゃんは私の痣たちを見て、眉間に皺をよせた。
痛そうだ、というような顔のしかめ方ではなく、それは無数のそれらを憎んでいるような表情だった。
サヨちゃんは私をみつめて、それから一言だけ呟いた。
逃げよう。と。
そんなことをしたらまた、あの人は、お母さんは怒るだろうと私は首を左右に振った。
けれどサヨちゃんは私をみつめたまま、何度も繰り返した。逃げよう。と。
なぜか泣きそうな顔で、逃げよう、と繰り返すサヨちゃんを見ているとなぜか本当に全てが浄化される日が来るような気がした。助けると言ったはずの私の方がサヨちゃんに救われているようだった。
逃げれば、逃げ切れるだろうか。


昨日の夜の家事をさぼった私は、今日もお母さんに殴られてしまったけれど。良いんだ。今日でそんな暴力ともお別れするんだ。

今夜、私はサヨちゃんと逃げる。














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