夜、またあの公園に行ってみた。もちろん一人で。
ぽつんとたっている二つの墓標に線香をそえるために。
それらは寄り添うようにたてられていて、ふと、親子だったのかもしれない。と思った。

「あれ?リンコちゃん?どうしたの?」

後ろを振り向けば顔が隠れてしまうほどの花束を持ったサヨちゃんだった。

「さ、よちゃんこそ…なんで?」

あまりの驚きに声が詰まってしまった。サヨちゃんを見て、体が自然と警報をならした。冷や汗が流れる。

「私は、お供え。ちゃんとしなきゃあね。」

少し困ったように微笑むと、私の隣にかがんだ。花束を供え、手を合わせ祈るように目をつぶるサヨちゃんを見ていると、不思議と涙が溢れた。

なんて、バランスの悪い少女だ。

「リンコちゃん?大丈夫?どうしたの?」

私の嗚咽に気付いて、背中をさする。あなたは、一体何者なの。
サヨちゃん、サヨちゃん。サヨちゃん。
赤子のように泣きじゃくる私を、まるで母のように抱き締めて、背中をさすり続けるこの少女は、なんてアンバランスなんだろう。
命を奪って、世界の真理を誤解していて、命を敬う、この子は。

「じきに、じきに全部浄化されるはずなの。それを待とう、リンコちゃん。」

その浄化っていうのは、世界の終わりのことですか、と私はその幼いアンバランスな聖母に聞けなくて。














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