朝って夜の続きみたいで、少し嫌だ。
昨日一日の憂鬱を全部制服と一緒に着込んで学校に行かなきゃいけない。朝って、少し嫌だ。

ほう、と息を吐くと白いもやになって、じきに消えた。

「おねーさん、どうしちゃったのさ。そおんな暗い顔して。」

私を自転車で追い抜いていく、その女は、茶化すように笑った。
どうしちゃったのさ、と言うわりに答えはいらないようだった。
毎日そうやって茶化しては追い抜いていく女になぜか無性にぶつけたくなったので、私は叫んだ。

「朝を、待ってるのさぁ!」

女が笑う声が遠くから聞こえた。
私の叫びが聞こえたんだろう、女も負けじと叫んだ。

「じきに朝は君のところに来るだろうよ!」

そうしてペダルをこぐ音は遠ざかって聞こえなくなった。
違うのです。名前も知らない女よ。
朝はあなたがいつも運んで来てくれているのです。気付いていないでしょうけど。
いつもあなたの声で私の夜は明けるのです。














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