「そういえば今日テストじゃなかったっけ。うわぁ、終わったわー。」

情けない声をだすみやこを横目に、もうすぐ受ける漢検に向けての勉強をしていた。そう、今日は数学のミニテストがある。
ちゃんと昨日頭に詰め込んだ。自分の中では完璧だと思う。

「え、何のテストだっけ?」

だけど一応とぼけてみせる。
さも勉強してなかったようにして、話を合わせる。大事なことだ。
するとみやこは、にやりと笑って、どうせ栞はどの教科でも問題ないでしょ。と言った。
過大評価されるのは苦手だ。

「栞ぃー、僕はもう疲れたよ…。」

真友里がよたよたと歩いてきて、私の肩に顎をのせた。某有名アニメのセリフだ。

「「なんだかとても眠いんだ。」」

みやこと真友里の声が合わさって、さすがだな。と思った。
なんだか微笑ましくて。
みやこが、にやっと笑うと、真友里は不服そうに頬を膨らますのが分かった。

「幼なじみ、なめんなよ。」

けらけら笑うみやこはミニテストのことなど、忘れたようだった。
この二人はお互いの嫌なことを忘れあえる仲なのだと思うと、なぜかどうしようもなく胸が痛んだ。多分、私は羨ましく思っているんだろう。妬ましいとも、思っているんだろう。
けれど、それを上手く隠せてしまう自分には無理だとも分かっている。

最近、やけに体が重い。悩みの重さか、はたまた違う何かか。

「栞?どうしたの?」

真友里が肩ごしに覗きこんで、はっとした。
人といる時にこんなことを思ってぼーっとしてしまうなんて。

「いや、大丈夫。ごめんごめん。」

にっこり笑ってみせても、中身のどろどろはとれなかった。

最近、めっぽう体が重い。
そんなことは言わない。言えない。














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