チャイムがなれば、みんなそれなりに席には戻る。
話し声が無くなるか、と言われれば答えはいいえ。なんだけれど。
うちの担任はチャイムがなってもなかなか来ない。
それがみんなにとっては好都合らしく、各々が持ち寄った話題できゃっきゃと話している。
そんな時、私はというと、好きな本を開いてその物語の中に入っている。
それはもちろん物語の続きが気になるからでもあるし、いざ担任が来たときに「チャイムがなっても騒がしく話してうんたらかんたら」などと説教されたくないからでもある。
「ねぇねぇ栞ぃ、これどう思う?」
「んー?あははっ、何してんのー?」
でもいい子ぶっている内に入らない程度に、呼び掛けられたらちゃんと対応。そして最良の対応で手短に。私の中では朝の鉄則である。
「あー、喋っとる人がおるなぁ。」
やけに訛りが入っている担任はHR終了二分前に、ガラの悪いヤンキーのように入ってきた。
言うまでもないだろうが、担任は体育教師だ。
ところでヤンキーとはもう死語なんだろうか?
「──まぁ、こんくらいやろ。先生、他になんかありましたっけ?」
犯罪被害や検定の知らせなんかを一通り伝えて、教室の隅で姿勢良く立っている副担任に確認する。
担任は副担任が「いや、無かったと思います。」と言うのを聞くなり「HR終了、号令!」と、どこかの軍曹のように声を張った。
あぁ、学校だなぁ。と私は心の中でうなだれた。
≪ ≫