真友里、16歳、女。
恋をしています。

私を呼ぶ声がその子のそれならば、ぶっ飛んで駆け付けるくらいには、恋をしています。
ずっと前から。

その子と私は言うところの幼なじみというものでありまして、昔から仲は良かったのですが、それは恋だと気付いたのはほんの二年前。中学生の時でありました。

それははらはらと雪の降る季節でした。
二人で家出をして、夜の教室で鼻を赤くしてそれを見ていました。
いま、この校内には私たち二人しかいないんだ。と思うとなぜか胸がきゅうっと締まる思いでした。

「真友里、寒い。」

そう言って、その子は私の肩に頭をのせ、ぴったりとくっつきました。心臓がはち切れそうでした。
それは紛れもなく恋でした。

私は何も言わずに雪を見ていました。なぜか、泣いてしまいそうだったからです。
その子の大きな黒目は私をひたすらに見つめていました。

「このままさ、もっと遠いとこ行く?」

冗談だと分かりました。もしくはその場のノリ、というものだと。
私は首を振る仕草をしました。言葉は出ませんでした。
もう少し、このままでいよう。
それは喉につっかえて出ませんでした。
その子はすぅーっと目を細めて、そっか。とだけ言いました。
口の端だけ上げてにやりと笑うその笑い方は今でも変わりません。

「…みやこ、寒いね。」

私がやっと出せた言葉はみやこの真似でした。
みやこは目を閉じて、そうだね。とだけ言いました。

雪はいつの間にか雨になっていました。














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