treasure | ナノ
 
乙女男子!
 

兎に角、ソレが初恋。 

馬鹿げた初恋。 


その日純情にサヨナラを 


ソレはきっかけもホントに些細なこと。 

席替えで隣になった、ただそれだけ。 

割と女子より今年は男子が多いせいもあって、 

男子同士になることもこの学年ではそもそも多かったけれど。 

―――――それにしても。 

肌白いし、細いし・・・ちっさいし・・・。 

ホントに男子なの? 

とポロっといいそうになる口を押さえ込む。 

「ハジメマシテ・・・・・・っスよね?」 

クラスに今まで存在していたにもかかわらず 

それこそ他学年の如く、記憶に無い同い年に話しかける。 

「え、あ、はい・・・初めまして・・・えっと、」 

「黄瀬」 

相手が名前が分からずに困っていることを悟り、 

すぐに自分の名前を教える。 

「あ、」 

「黄瀬っつーんスよ、オレ」 

一応モデルで有名のつもりだったから今のは正直傷ついたなー。 
とか苦笑いに思う。 

「あ、えとハイ」 

―――――瞬間的に何かが止まった気がした。 

黒子にやんわりと優しい笑顔。 

さっきまでの無表情は一体何処へ、といいたくなるほどに。 

「――――・・・ッッ!!!」 

なにこれ。 

「・・・カワイイ」 

「え?」 

「あ、いやなな何でも無いっス!!」 

家に帰宅してからも 

ずっと黒子の優しい笑顔が離れない。―――――恋する、ってこんな気持ちかもしれない。 

なんて思っちゃったり。 

「明日は、もっと一杯話してみたいっス」 

そんな風に暗い部屋で1人ポツリと呟いてみる。 



「おはよっス黒子クン」 

「? おはようございます、黄瀬君」 

「あ、名前覚えてくれたんだ」 

「え?あぁ、はい。まぁ」 

―――――折角のお隣さんなので。 

そんなことを言われて少し気分が持ち上がる黄瀬なのだが「お隣」という言葉が気に食わなかった。 

「お隣さんなら誰でも興味もつんスか?」 

「・・・」 

一拍の沈黙を置いて、担任の声によりその答えは強引にも聞けないことになった。 

―――――沈黙ってことは肯定っスよね。 

「ツマンネーっス」 

「何がですか?」 

「うぉあぁ!?」 

「そんなに驚かなくても・・・」 

こそこそと小声で会話をする今の状況はなんとなく特別なものみたいで嬉しい。 

「ね、黒子クンさ、こういうのもいっつもしてるの?」 

「え?」 

「こーいう内密みたいにこそこそ授業中はなすの」 

「・・・いえ、初めて・・・はい。ただのクラスメイトと話すのは、初めてです」 

「それってどーいう」 

意味と言おうとして 

「おい、黄瀬ェ。授業中にナンパすんなー」 

と笑い混じりに教師が言う。 

「ナンパじゃねぇっスよー。マジのほうっス」 

「冗句はお家に帰ってからな、んじゃ此処の」 

再び教師は秋の行事だのナンだのと話しだし、 

結局黄瀬は不服なまま朝を終えるのだった。 


オレに惚れて欲しい! 
そうしたらこの情けない恋心は実るだろうか。 
(黄瀬君?) 
(あぁぁあああぁぁ鈍感!!!) 




→Thank you!! 
「嘘つきi言葉」の哉嘉さまより頂きました! 
くろこっちの微笑みが見たいです私も……!!!!! 
相互ありがとうございました、これからもよろしくお願いします!