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※藤くんがただの変態 



「アシタバって処理すんの?」 

「…?処理?って何の?」 

いつもと特に変わりない放課後、部活動のない僕は帰宅部の藤くんと校門までの道を並んで歩いていた。いつものことだけれど、藤くんと並んでいると常に視線を感じてしまって、自分じゃないとわかっていても気になってしまう。その当人は、まったく気にしていないのだけど。 

――いや今はそんな話じゃなくて、藤くんの言う"処理"って何だろう。 

「だからオナ「わあああ!!!」」 

公衆の面前で何を言うのだこのイケメンは。だいたいどうしてそんな話になったんだろうか。藤くんの頭の中はどれだけ近くに居てもわからない。 

「なっ、ななななに言っ…??!」 

「そんな恥ずかしがることねえじゃん。誰だってオ「だからダメーーー!!!!」くらい…何だよアシタバ」 

「藤くんが何!??どうしたの?!!」

もしかして安田くんと仲良かったんだろうか。それなら失礼だけど今すぐ付き合いをやめてほしい。別に安田くんが嫌いとかそんなんじゃないけれど、影響はされたくないというのが本音。 

「いやな、最近オレアシタバ見るとムラムラすんだよ。」 

――――…。 

「なに…?」 

村々?群々?……ムラムラ…?それはあれじゃなかろうか。下半身に直結している感じではなかろうか。いやまさかいくら僕が小さいからって藤くんが僕に「欲情すんの。」なんてまさか。まさかまさかまさか。 

有り得ない!! 

「藤くんどうしたの!?安田くんに何か…!!」 

「アシタバで抜けたしアシタバ見ると反応するしアシタバにねじりこみた…」「やーめーてー!!!!!!」 

ね、ね…!??ねじりこみた…っ!??元から生半可なことでは羞恥を感じるような人ではなかったけれど、ここまで…なんというか、下ネタを連発するような人ではなかった気がする。どちらかと言えばそれは全て安田くんの役割で、藤くんは興味なさげに聞いているだけ、という印象だった。 

なら、こんな風になってしまった理由はひとつしか思い浮かばない。 

「ふじくん!今ハデス先生呼んでくるからね!!待ってて!」 

「アシタバ?」 

病魔だ。それしかない。というよりそうじゃなかったら僕はどうすればいいんだろう。とりあえずはハデス先生に助けを求めよう、病魔じゃなくてもハデス先生なら…となんの根拠もないのに何故かそう思って、相変わらず生徒の少ない保健室に駆け込む。 

「ハデス先生!助けて藤くんが変なんです!!」 

「!藤くん…?!」 



「あ…、あの先生…病魔は…」 

「え…と、…残念ながら…じゃなくて、大丈夫病魔の気配はないよ……。」 

「えっ!?」 

「何だよアシタバ。オレの愛が信じられないのか。」 


えっ?!!!!これ素!!?????? 


(たすけてハデス先生…!!!) 

(ごめんね、何とかしてあげたいけど…病魔じゃないなら僕には何とも…) 


―――学校一のイケメンは、生粋の変態でした。イケメンの欠点は、とてつもなく大きいみたいです。 


藤くんの頭の中ってどうなってるのっ!? 



おわり