誰が為に君は笑う ※廉燐←金 最近気付いたことがある。 俺はどうも、弟の友達を好いているらしかった。 まあ気付いたところでどうなるわけでもないし、と半ば諦めきってバンドに打ち込んだ結果、誰にも言っとらんのにどうやって知ったんか柔兄に殴られた。 相変わらず穏和そうな顔して気が短いなと宣えばお前がみっともない真似するからやと怒鳴られまた殴られた。 頭ばっか殴りよってからに阿呆んなるやろ、と怒鳴り返せばそれ以上阿呆んなってたまるかいとそれなりに酷いことを言われた。 そない言われたかて諦める以外にどうしたらええんかわからん。 そう返せば柔兄は何故か今まで散々殴ってきよった頭をやさしく撫でた。意味わからん。意味はわからんけど、何や安心したんは事実。 金造お前、人好きんなったことないんやな。 せや、こんなん初めてやわ。 ―けど、それがなに? 可哀相みたいに言われたけど、それが特に可哀相に思われるようなことやとは思えへん。初めて好きんなったんが望みの欠片もないてわかっとる相手やっちゅうんは確かに運が悪かったとは思うけど。 だからといってそれがどうした、とも。 嘆いたって何も変わらんし望みがないから言うてすぐ次に行けるんやったら最初から好きになんてなっとらん。諦めんのと好きやなくなんのとは別や。 俺は諦めたけど、まだ奥村くんのことが好きなんはなくなってへん。 みっともなくたってええ、惨めな思いするよりよっぽどマシや。 せやから俺は何も言わずにこのただ痛い苦しいばっかの気持ちを昇華させようと一心不乱やったんに、柔兄はそれを無駄にしたんわかっとる? 精一杯睨んだつもりが柔兄は怯むどころか一瞬驚いたあと何や痛々しいもんを見るような顔をして、けどその理由はすぐに知れた。頬に水が伝って気持ち悪い。泣いたんなんかいつぶりやろ、と変に頭は冷えて拭うのも忘れとったら黒いもんが視界を覆って、乱暴に拭われた。 …力加減でけへん奴やな、痛いわアホ 黙っとけこの跳ねっ返りが 誰が跳ねっ返りや 好きな子に好きやとも言わんと諦めよるお人好しな弟のことや、大人しい慰められとけ それがどうしたらお人好しになんねん、ただのチキンやろ 相手の為に言わんとこいうんはチキンやのうてお人好し言うんや覚えとけアホ (…何でわかんねん) 柔兄の俺を詰る声がやたらと柔らかいような気がして、なんや不思議なほど安心したやなんて悔しいからぜったい言ったらんけど。兄弟いうんはこんな無条件に甘やかすほどのもんなんかと、次会ったとき、にはまだ無理かもしらんがいつかはちょっとだけ俺以上にアホなあの弟にやさしいしたってもええかな、とは思った。 そんときには多分、幸せそうな二人やっても平気で揶揄えるようになっとるはずやから。 (笑うんは、あいつの為だけにしたってや) Fin ―――――― わかりにくいですけど廉燐←金です一応…一応…。 らぶらぶな金燐書きたいです金燐すきすき´//` |