2 実際に邪な考えは抱いているのだが、いくら健康な男子学生といえどそればかりという訳ではない。 だが淡泊そうな黒子には誤解される可能性も否定出来ないどころか、大いにある。 「…黄瀬くん?」 「っどわ?!」 「?どうかしました?出ましたけど。あ、服借りました。」 「あ、ああ、うん、早いっスね!」 突然声を掛けられ無様にも床に尻餅をついてしまい、黄瀬の大きすぎる服を纏った黒子を見上げる形になり、収まったはずの淫心が再び這い上がってくる。 「?」 黒子を凝視したまま動かない黄瀬を見て小さく首を傾げる彼はきっと、己の姿がどれほど男を煽るのかわかっていない。 まず黒子が自分の服を着ていること自体、黄瀬の下半身に多大な影響を与えるというのに、服は体格の差を考えれば当たり前だがブカブカだし、タンクトップを渡してしまったがために細い肩のラインも白すぎる腕もあらわになってしまっているし、濡れた髪は首に絡まってやたらと色っぽいし、広く開いた胸元は気にするべきではないとわかっているのにその白さと鎖骨の凹凸に視線は吸い寄せられる。 長ズボンだったことだけがせめてもの救いか。 「黄瀬くん?入らないんですか?」 いつまでも座り込んだままの黄瀬に視線を合わせようと黒子は膝を抱えるようにしてしゃがむと、無意識だろう上目遣いで黄瀬の顔を覗き込んでくる。 なんて無防備。 なんて罪作り。 彼は淫心催した男の恐ろしさをわかっていない。 ――まあそもそも黄瀬が黒子に欲情していることなど彼にわかろうはずもないのだが、無意識に煽ってくれる彼に恨めしさを感じるなという方が無理である。 兎にも角にも、この欲望のまま突っ走るわけにはいかないので、なるべく黒子の姿を視界から外し風呂場に向かった。 シャワーを浴びながら、性懲りもなく這い上がってくる邪心から目を逸らすため公式でも暗唱しようとしたが悲しいかな、今すぐ公式を思い出せるような出来の良い頭は持ち合わせておらず、こんなことならもう少し真面目に勉強しておくんだったとすべきところでしない反省を間違った場で浪費する。 しかしそんな反省すら途切れてしまえば、 「っ…」 ――ごめんなさい黒子っちっ…… シャワーの勢いをマックスまで上げて声を殺し、心の中でひたすら謝りながら自身を慰めるしかなかった。 「黄瀬くんお風呂長いですね。」 真っ直ぐに見つめられるのが今は辛い。 そう、普段は烏もびっくりの早業でシャワーを済ませてしまう。 「うん、まあ…汗、ちゃんと流したいんスよね…」 しどろもどろにそんな言い訳を並べながら、罪悪感が押し寄せた。 「そうですか。やっぱりそういう事には気を遣うんですね」 ただ純粋にそう言う黒子にやっぱり罪悪感が込み上げる。 ――…風呂が長かった理由を知ったらどう思うんスかね 黒子の残り湯で抜いた、なんてことは死んでも言えないが。 いたたまれない思いのまま、いつまでも突っ立っているのも変だろうと黒子の隣に腰を下ろすと座高の違いのせいで襟首から中が見えてしまい、健康すぎる男の身体は正直な反応を示した。 と、その時インターホンが鳴り、その瞬間こそホッとしたがすぐさまインターホンを鳴らした人物に思い当たり緊張が走る。 玄関ではない。下、エントランスホールだ。 慎重に受話器を取り、黄瀬の声を聞けばすぐに帰るとわかっていたので敢えて 「どちら様ですか」 と冷静な声で対応した。 しかし、 『…今、誰と居るの、涼太…』 何故か今日に限って相手の反応は違った。 まさか、黒子が居るのを知っているのか。 そんな口ぶりだ。 今まで、黄瀬が対応して応答してきた事などなかった。 「っ…あんた誰」 『どうして私以外の人を家に上げたりするのよ。…酷いわ』 黄瀬の言うことなどまるで聞いていない。 埒があかないと思って受話器を置くと、間をおかずに再びインターホンが鳴る。それに、電源コードを抜いた。どうせこの時間、この後来客などない。 「!…家まで、来るんですか…?」 「いや、まあ…何か言ってきたのは初めてだったんスけどね。」 まさか黒子が居るのを知られたからだとは言えるはずもない。 だが聡い黒子は、今日初めてという言葉から察してしまったようだ。 「…僕が、居るから…。」 「!ちがうっスよ!黒子っちのせいじゃ…」 「見張られてるようなものじゃないですか…」 憤りを感じているらしい黒子は不快感もあらわに受話器を睨みつける。 「いいっスよ。もう電源も抜いたし…」 ソファに座った黒子の頭を宥めるように撫でるとまだ不満そうな色を残しながらも視線を逸らす。 「あんまさ、心配しなくていいスから。俺そんな繊細な神経してないし、いざとなれば事務所の人も手打ってくれるし。」 「…おやすみなさい」 黄瀬の言葉には返事をせずにそれだけ言うと、何度か泊まったことのある黒子は勝手知ったるとばかりに寝室へ足を向けた。 「…おやすみ」 気まずい思いも手伝って、結局黄瀬が寝床に着いたのは3時も回った頃だった。 「…いつも、こんな時間ですか?」 寝ていると思い、揺らさないよう気をつけながらベットに入ると、思いがけず黒子の声が聞こえた。 「!…まだ起きてたんスか?」 「黄瀬くんが遅いので」 「え…あ、ごめん…?」 責められているのか何なのか、いまいち判断できなかった黄瀬はとりあえず謝ったもののそうではなかったようだ。 「そういう事じゃありません…別に、怒ってるわけじゃないんです」 「え?」 黒子が怒っていると思って遅くしたわけではないのだが、 黒子の言葉が聞きたかった。 だから、意地が悪いとはわかっていても誤解を解くことはしなかった。 「僕はただ、もどかしいだけなんです。黄瀬くんのために何もできないから、せめて家に居る間くらいはと思って…君の迷惑も考えずに…、」 背中を向けたまま吶々と語る彼が無性に愛しかった。押し付けがましくない彼の優しさは充分黄瀬を癒してくれているのに。彼の存在自体が黄瀬に安息を齎してくれるのに。 「…黒子っちは考えすぎなんスよ。俺は、黒子っちが俺のこと心配してくれてたら嬉しいだけなのに」 いつまで経っても振り向いてくれない黒子を腕の中に収めると、細い肩が微かに強張る。 それでも嫌がっているわけではないとわかっているので怯むことなく腕の力を強めると、彼は腕を拒むためではない身じろぎをしてこちらを向き 「…すいませんね、考えすぎの頭でっかちで」 そう毒づいて、言葉や口調とは裏腹に黄瀬の首に遠慮がちに手を回してくれた。 「俺が楽観的なんだから丁度いいんスよ、これが。いいバランスだと思わない?」 「…楽観的すぎるのもどうかと」 「ひどっ」 お互いにクスクス笑いながら身体を密着させていると、どうにも堪え性がないらしい男の身体は自分の胸元に顔を埋めている黒子に口づけ、更には下半身に異常をきたす。 「ん…」 「黒子っち、したい。ダメ?」 口づけを解かないまま、甘えるような声で問う。 別にそれが可愛いとはさすがに思っていないが、黒子がそれに弱いのを知った上だ。 「…ほんと、君はもう少し危機感持った方がいいと思います…」 そんなことを言いながら、表情は既に容認している。それを確認して、再び口づけた。 先程までの触れるだけのキスとは違い、歯列を割って舌を忍ばせると縮こまった彼の舌を搦め捕って深く口腔を犯した。 官能的な口づけを施すと少しずつだが黒子の身体に熱が帯びていくのがわかる。 「っ…は…」 「黒子っち…ごめんね、今日…あんまもたないかも…っ」 長いキスを解くと銀糸が二人の間を繋いだ。それを見た黒子は何故か羞恥を覚えるらしく、視線を俯けて手の甲でどちらのものかわからない唾液で濡れた唇を擦りキスの余韻さえも拭い去ろうとする。 「それ傷付くなあ…」 「うるさい」 「ひどいっス、黒子っち。…もっと恥ずかしいことするんスよ?」 「!っぅあ…っん」 ブカブカのタンクトップの裾を捲りあげ、この後来るだろう快感を感じとって震えるなめらかな肌に唇を寄せると、唐突な接触に黒子の嬌声が迸る。 自分でも意図しないところで出てしまったのだろう、黒子はすぐに両手で口を塞いだ。 「声、出していいのに」 寧ろ聞きたい。感じてくれている証だから。 口には出さず、その願いを実現すべく普段は意識しないであろう小さな胸の粒に舌を這わせるが、さすがというか何というか、意地でも声を堪えるつもりらしい。 「んん…っ」 堪えている様が嗜虐心を煽るのだとは思いもしないのだろう、とにかく声を出さないようにと手の甲を噛んでいる。 「ダメっスよ、手噛んじゃ。跡残っちゃう」 綺麗な肌なのに。 そう本心から告げたのに、黒子には潤んだ瞳で睨まれてしまった。 ――潤んだ瞳で睨まれても、誘われているとしか思えないのだが。 そして誘われるまま、噛み締めていた手を外させて唇を重ね、黒子がそちらに気を取られている間に掌や指でぷっくりと勃ち上がり赤くなった粒を刺激する。 「っ…やあっ」 「かあわいい」 舌で歯列を辿りながら、笑みを含んだ声で囁けば快感に逆らえない無垢な身体は言葉にも反応し、腫れたそこを指先で抓ればその鋭い刺激にベットの上で華奢な身体は跳ねる。 「ぁ…っ、やっ、やだ」 「気持ちイイでしょ…?ココ、硬くなってる…」 舌の上で胸の粒を転がしながら、緩いウエストに手を滑り込ませ下肢に触れると、瞬間的に腰を引く動作を見せて黄瀬の手から逃れようとする。 「っ…ぁんっ、や」 それでも強引に熱を持った中心を直接握り込むと、びくん、と脈打ち、先走りで濡れたモノを節張った手で強く擦る。 「っや、ぁああ…っ」 汗に濡れて淫らな光を反射する肢体をくねらせて、キツすぎる快感に悶える様はいつもの黒子からは想像もできないほど淫蕩で卑猥だった。 それに、己の欲望にも熱が集まっていくのを感じ、噛み付くように白い肌を強く吸い、点々と印を刻んでいく。 「あ、あ…っだめ…」 「何がっスか?こんなにしてんのに…」 「!ひぁっ、ん、…っあああぁ!」 蜜を零し続ける先端を指で強く抉ると再び彼の口から艶めいた嬌声がこぼれ落ち、欲望が弾ける。 独特の匂いを放つ白濁した液が絡み付いた手指を後ろへと滑らせ、まだ慎ましく閉じたままの場所にそれを塗り込めた。 「!っ…ぁ」 「っごめん、今日はこれでやらして…?」 「ん、く…っぅ」 硬く閉ざしたままの入り口をゆるゆるとなぞりながら、少しずつ指を中に進ませていく。息を詰めて苦しそうな表情をしている彼に先程までの快感に悶える色はない。 「…大丈夫…?痛い?」 「ん、ん…」 固く目を瞑り弱々しい動きで首を振る黒子に温かいものが胸のうちに溢れるが、とてもじゃないがこの状態で止めることなどできはしない。その変わり、少しでも苦しさを紛らわせようと唇を合わせ官能を引きずり出すために口内を蹂躙する。 「く…っん」 「っ!…っ」 鼻から抜ける仔犬のような声が黄瀬の下半身に直撃し、孔を解す指の動きが性急になり激しくなるとその緩急の差に驚いたのか、後ろの窄まりが指をきつく締める。それに指の形を強く意識してしまったのか黒子の顔に一層赤みが射し、一瞬後孔が緩んだ。その隙を見逃さず3本に増やした指を一気に突き入れた。 「っぁん!…っや、やだ…抜いて、…っぇ」 「すぐ、だから…っお願い、もう…我慢できない…っ」 挿れたい… そう耳元で囁くと、耳への刺激ですら感じてしまうのか、快感をやり過ごすように身をよじる。 拒否の言葉を口にされないのをいいことに、指を引き抜くと取り出した自分の怒張を後孔に宛てがい、貫いた。 「っひ、あぁ…っ!」 「っ…く、っ」 挿入の瞬間、強烈な快感が襲ってくる。その射精感をどうにかやり過ごし黒子が落ち着くまでじっとしていると、彼は涙ぐんだ瞳で黄瀬を見つめて小さく呟いた。 「っ…はや、く…」 「っ!」 かろうじて残っていた理性が、音を立てて崩れ落ちるのがわかった。 「っえ?あ、ぃや…っあ、ああぁっ」 「っごめ…止まんな…っは…く」 激しい抽挿を繰り返し、細く華奢なのに淫らな空気を漂わせる身体を凶暴なモノで犯す。 ある一点を突いたとき、黄瀬が組み敷いた色気の滴る身体が大きく震え、ベットに飛沫が飛び散った。 「だめ…っ!や、そこ…っや、ぃやああっ、ん」 快感を逃がす術を知らない無垢な身体は可哀相な程キツすぎるそれに翻弄され、素直に乱れ、黄瀬までもを煽ってしまい再びその波に呑まれるしかなく、 ただ欲望のままに際限なく彼を貪り、彼の中に数度に渡って灼熱を注いだ。 翌朝、酷使した腰は黄瀬でさえ怠く、一晩中黄瀬の欲望で掻き回された黒子は怠いどころではないだろう。 本来受け入れる側の負担は男役の比ではないのだ。 「ん…」 「黒子っち?起きた?」 「はあ…っ!」 ベットから出るなり腰を押さえて再び突っ伏してしまった黒子を支えると、やはりというか、当たり前というか、その澄んだ瞳で真っ直ぐ睨まれてしまった。 「何回したんですか…!!!こ…っの、絶倫…」 野郎、とその清楚に整った可憐な容姿には似つかわしくない言葉を吐いて勢いをつけて立ち上がった。しかし 「!?ひぁっ…」 と昨夜何度も聞いた嬌声にも似た声を発してすぐにしゃがみ込んでしまった。何事かと覗き込んでみれば、羞恥で真っ赤に染まった顔でまたもやキッと睨まれるが黄瀬にとってみれば可愛いだけである。おまけに黒子はまだ何も纏っていない。 昨日黄瀬が好き勝手に剥いだままベットの周囲に散らばっている。 「っ…な、なん…これ………何で…っ!」 今度は怒りではなく、戸惑いの表情で状況を把握できていない黄瀬を見上げてくる。 ――その表情がまた何とも可愛い。 普段ポーカーフェイスなだけに、こういう表情がどうにも可愛く思えて仕方ないのだ。 「?どうしたんスか?」 「な…っ、中に、出したでしょう…っ!!」 口にするのも憚られるのだろう、更に顔を真っ赤にしてそう訴える黒子に、黄瀬は処理していなかったことに気付いた。昨日は少しやり過ぎて果てた後そのまま眠ってしまったのだ。 「ご…っごめん!!掻き出すの忘れてた…!今から…」 「いいですっ自分で…」 「するんスか!?」 「っ…」 今まで事後処理は出来るだけ黒子が疲れて寝てしまった後に黄瀬がやってきたので、黒子は自らしたことはないはずだ。 「…俺がやるっスよ。ちゃんとするから、ね?」 優しく笑んでみせれば、それ以上意地を張れないと思ったのか大人しく黄瀬に抱かれて風呂場に向かう。 ――黒子が立ち上がれないことをいいことに姫抱きで運んだ。もちろん黒子は全力で抵抗したが、黄瀬の力に敵うはずもなく結果、横抱きのまま運ばれた。 「黒子っち?ちょっと四つん這いになってくんないスかね…じゃないと、」 ちゃんと見えない。 言い終える前に、黒子は羞恥に震えながらも浴槽に掴まって四つん這いの体勢を取る。いくらそういう目的ではないと言っても、こんなあられもない姿を晒して羞恥に震える恋人を目の前にして興奮を覚えない方がおかしいだろう。 つい生唾を飲み込み、黒子に睨まれる。 出来るだけ無心になって、昨夜散々貪り尽くして腫れたようになっている後孔に指を入れると、昨日の名残か、抵抗なく指が飲み込まれていく。 「っ…ぁっ」 あえかな声も聞かないようにして、昨夜の己の欲望の名残を掻き出すと、どろりとした白濁が溢れ黒子の白いなめらかな内股を伝い落ちていく。 その煽情的な光景に硬くなり始めた己の分身は見ない振りをするしかない。 「っん…っ」 黒子が、中を指で掻き回される刺激に快感を拾い始めているのがわかる。 ――まずい、やばい、勃つ 彼の恥態を前に、反応しないほうがどうかしている。 「…黒子っち?大丈夫…?コレ、辛くない…?」 熱を帯び始めている黒子の花芯に触れながら囁くと、まだ彼の中に埋めたままの指が締め付けられた。 「ぃ…っや、触んな…で」 「一回イッといた方が楽っスよ?」 理性は脆くも本能に負け、張り詰めて既に蜜を零し始めているそれを先走りのぬめりも借りてゆるゆると扱くと疲れ果てているだろう身体はそれでも敏感に快感を捉える。 「っあ…、や…ぁあ」 「いいっスよ。出して」 「やあ…っや、や、きせ、く…っ」 やめて、なのか、やだ、なのかはわからないがとにかく首を振って拒否の意を示すがその意識に反して黄瀬の手の中にある熱は刺激を与える度に硬さを増していく。 そして、一際きつく扱き上げ、先走りに濡れた亀頭を強く抉るとその一瞬後には白い飛沫を上げて弾けた。 「っひ、あぁんっ…!」 白濁した液が黄瀬の指を伝って風呂場の床にポタポタと落ち、水に混ざる。 それをまだ興奮覚めやらぬ様子で放心している黒子が荒い息のまま見ているのを確認すると 指に絡まった愛液を舌で丁寧に舐めとった。 独特の苦味は決して美味しいとは言えないが愛しい人が自分の手で感じて自分の手の中で達したのだと思えばそれは甘露にも代わる。 「はぁ…っは…」 「黒子っち?ごめん、挿れないから…足、使ってい?」 「え…っ、あ、すいませ…」 自分の足に当たっている黄瀬の下半身の変化に気付いたのか、じわりと首まで朱に染めて微かに身じろぐ。 しかしそれを許さず、強引に黒子の足の間に己の熱を挟み込むと、同じ身体の造りをした男とは思えないその暖かい柔らかな感触に挿入した時のような既視感を覚えて達しそうになった。 「っ…ぅわ…」 「なに…っ?や、何か、変…っ」 股を閉じた状態を維持してもらい、そこに挟んだモノを抜き差しすると挿れた時と同じような快楽が背筋を貫き、先走りで黒子の足の間からぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえてくる。 いわゆる擬似挿入をしたのは初めてだったからか、黒子は黄瀬が何をしているのかあまりよくわかっていないらしく浴槽の淵に掴まったまま息を乱し、快楽を享受している色気の滴る表情の黄瀬をまだ上気した顔で見詰めている。 「っ…!」 しかしその綺麗な筋肉で覆われた身体が身震いし、自分の内股に温かい液体が掛けられたことで黄瀬が達したことを理解したのだろう、小さく肩を跳ねさせて丸い瞳を向けてきた。 「っ…ごめん、気持ち悪い?」 「あ…?何…今、」 「うん、ごめんね…擬似セックス、みたいなもんなんスけど…勝手にしてごめん…」 急いでシャワーのコックを捻り、自分の精液を流す。 → |