小説あんすた | ナノ

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僕の隣の席のヤツは不良だ。女好き。席はいつも空いている。たまに来たと思ったらスマホいじってヘラヘラするだけのチャラ男。

「冬雅くーん。」

「…勉強中。」

「つれないなぁ。」

色々あって1ヶ月前に恋人となった。カッコ仮がつくけど。

「暇ー。」

「帰ったら。」

いきなり家に乗り込んできたかと思えば、暇だと机の周りをうろつく。何しに来たんだ。

気にせず黙々と勉強をしていると次第に構って攻撃がなくなってポスっと僕のベッドの上に座った。

ペンを置いて渋々振り返る。いつの間にかうつ伏せになって大の字に寝そべっていた。

「羽風…」

枕に顔埋めて息を吸う羽風。自由過ぎだ。

「おい、やめろ。」

「嫌だね!」

椅子から降り羽風の肩を掴む。ぎゅうっと枕の原型を留めないくらいに強く抱きしめた。どうしても離さないらしい。

「いい匂い。」

「臭いだけだろ。」

「冬雅くんの匂いがする。」

殺しきれなかった溜息が出てしまう。ベッドに腰をかけ羽風を眺める。

「んで、急に家に押しかけて何の用。」

先程の騒がしいのはどこ行ったというふうに途端に静かになる。うるさいのも困るけど、こうも静かすぎるのはもっと困るんだよ。僕に背中向けて顔見えないし。

「…なんもない。」

なんだそれ。用事ないのに来たの。恋人らしいことすんなよ。

「…あのなぁ。」

体を捻って手を羽風の顔の横に置く。腕と腰の間に羽風がいる。肩が小さく跳ねて動揺が見れた。さすがにこうなりゃビビるだろう。

「ゲイをからかうのはもう辞めろ。」

「…え、」

「ノンケなお前には僕がどう映っているかはわからないが、惑わす行動をとって嘲笑ってんだろう。」

「ち、ちがう!」

羽風が勢い良く体を反転させて目が合った。真正面で僕を睨んでる。

「襲うぞ。」

一気に顔の距離を縮めて鼻がくっつきそうなくらいまでに留めた。

これで観念してもう僕には関わらなく、なって…


「…は?」

「っ…」

羽風はぎゅっと目を瞑って逃げなかった。

予想してた反応と違う。なにそれ。我慢してんの?男同士でキスまでならって思ってんの?

「バカだな、お前。」

変なやつ。

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