小説えーすりー | ナノ



大変だ。どうしよう。腕の中にいるこいつが可愛すぎてにやける。

「準備って?」

目の前にある頭を撫でる。短い髪を何度も手櫛で撫で付けると目だけこっちに向けた。

「ケツの穴、洗ってきた。」

「ぶはっ…ふ、ははっ」

そんな馬鹿正直なところも可愛くて笑いながら強く抱きしめた。

「だから今日変だったのかぁ。」

嬉しくて柄にもなく舞い上がっている自分がいる。みっともない姿を見せたくないんだけど、無理だ。

「…ハルがいつも以上にかっこよく見えて心臓がバクバクするし、キスもぎゅーも緊張しちゃって、意識すると、オレ、ダメだ。」

顔を隠してても耳が赤い。兵頭の体が熱い。自分で言ってて恥ずかしがってる。

「そろそろ顔上げて。」

「無理っ」

腕も脚も俺の背中に回して全身でしがみついてきた。コアラだ。そのまま俺の全筋肉を使って立ち上がった。

「すげー…」

なんかちょっとムカつく。

「よっこいせ。」

「わふっ」

ベッドに兵頭を降ろす。仰向けになった兵頭の顔の横に両手をついた。目をぱちぱちして俺を見上げてる。また顔を隠そうとしたのを瞬時に察して兵頭の手首を捕まえた。

「隙あり。」

「んっ!」

ビクッと肩が揺れた。口を塞いで、両手をベッドに縫い付ける。ふ、と息が漏れ薄く口が開いたタイミングで自分の舌を入れた。

「っ、っむ、ぁ、んん…!」

兵頭が動揺してても気にしない。舌を追いかけて、絡ませて、息も奪うように塞いだ。

「いき、できなっ、」

「鼻で息するんだよ。」

息も途切れ途切れで頑張ってる。頭を撫でながら額にキスをして落ち着くのを待った。

「これでバテんな。」

「ん…」

「兵頭。」

頬を染めてボケーっと俺を見つめる。うんともすんとも言わない。だから俺は肯定ととるぞ。

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