恋愛に無頓着なこの子、天満光。見るからに恋?恋愛?何それ初めて聞きますーみたいな子だ。俺はそんな光に恋をした訳で。

一つ上の俺が当たって砕けろではなく、当たっても理解されずに終わって死ぬという覚悟を持ち告白した。

オレも好きだぜー(先輩として)って言うんだろうなって。そう、思ってたんだけど、

「…ん。」

…えっ。あの、これはどういう反応ですか。

50音順の最後の一文字だけだぞ。

「あー、えっと。光?」

太陽みたいな笑顔じゃなくて、ふわっと笑った顔。

「やっぱり、にーちゃんが言ってた通りだぜ。」

柊斗ちゃん先輩を見るとムズムズして、時々心臓がぎゅーってなるの、恋なんだって。

「…オレも柊斗ちゃん先輩が好きだ!」

「う、うん…?」

これは本当にわかっているのか?頭の上にクエスチョンマークを何個も飛ばしながらお付き合いがスタートした。

そんな出来事があって約半年が経ちました。恋人らしいことは全然していない、というわけではなく。月日を重ねるにつれて恋人らしいこともしてきた。

光は本当に恋愛的な意味で俺のことを好きと言ったのだろう。

素直にびっくりした。

ベッドに腰掛けている光に屈んで口を塞ぐ。ちゅ、と音を出して離すと目尻を赤くして笑った。

いつも騒いでいる光がこういう時にしか見せない姿。走り回ってるのも可愛いけど、キスして抱き締めると静かになるのも可愛い。

「…柊斗」

「ん?」

「し、心臓がうるさい。」

「…ぶはっ!ふ、ははっ、」

少し沈黙があった後、思わず吹き出してしまった。ツボに入って肩を揺らす俺に光は首を傾げた。息を整えて落ち着かせる。

「ドキドキしてるの?」

頷いた光の頬を包んで指先で耳を弄る。多分これが好きなんだと思う。気持ちよさそうに目を細めるから。

「口開けて。」

「あー…っむ!?」

大きく開いた口に覆うように口をつけ、舌を入れた。驚いて身体が硬直していた。咄嗟に掴んだらしい俺の腕を強く握る。

「ん、んーっ!んうっ」

「光?」

そのまま後ろに押し倒したらグッと肩を押された。光の顔の横に手を付く。拒むのはあまりないからちょっとショックだ。もしかして嫌だった、とか。

「前の、もっかいチャレンジするんだぜ。」

「…え。」

前のとは。

なぜか意気込んでいる姿を見て考えた。前って。いや、思い当たる節はあるんだけど、まさか自分から言うなんて思えないし。


「ふぇら。」

あー大正解ですかそうですか。すごく魅力的なお誘いだけど。すごく嬉しいんだけど。あの、前の初フェラはトラウマになりかけてるんで…

「無理しなくていいよ。辛そうだったじゃん。」

「っ辛くない!」

大きな声を出してからだんだん目を逸らした光。様子がおかしい。

「…気持ちよくできる、から。」

光のその表情と言葉にグラッと揺らいでしまった。いちいち可愛いこと言うなよ。







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