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「あー!さんかくじゃなくてまんまるおにぎり食べてる!」

「…んむ?」

「だめー!」

「えっ、ちょ…」

俺特製おにぎりを奪われた。待ってくれ、それは腹が減って死にそうで簡単に作ったおにぎりなんだ。さんかくじゃなくて丸の方が簡単だろう。

放心状態でいるといつの間にか三角が俺のおにぎりをラップに包み直して一生懸命さんかくにしていた。

「三角、早く頂戴。」

「んー…さんかくにならない。」

頑張っているみたいだけどそれ潰してるだけだよ。なんて言えない。三角すごく必死だもん。

「ッできたー!」

キラキラの笑顔で俺に渡した先ほどより小さくなった不格好なおにぎり。ありごとう、と受け取って一口。うん、握りすぎて固くなっている。

「さんかくにすると美味しいね。」

「うんっ!」

なんでだろう。俺の作ったおにぎりの方が美味しいはずなのに、三角が作ってくれたおにぎりは心がほかほかする。本当にさんかくが好きなんだなぁって。

「えへへ、湊ー!」

「うわっ…!」

正面から飛びついてきた三角を受け止める。俺の首と腰上に腕、脚を絡めた。頭のてっぺんに顔を埋めて強くしがみついている。片手におにぎり、空いている方の手を三角の背中に置いた。

「そのまま動かないでね。」

「わかったぁ。」

目の前は見えない、おにぎりは食えない。腹減ってる時に邪魔されたら怒るけど、まぁ三角だから。かわいいし。

椅子に座ると必然的に向かい合って俺の膝の上に乗る形になった。

「湊はさんかく好き?」

「三角が好きだよ。」

「オレ?」

目を丸くさせて首を傾げた。意味がわかってないらしい。

「うん。好き、さんかく。」

「オレもっ、好き!」

嬉しそうに笑った三角の頬にキスをした。


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