▽ 4-30
Another side
なんとか<ひまわり>の脱出用エレベーターに飛び込んだと同時に、展示室の天井が崩れ落ちた。
昇降路を滑り降りながらポケットからライトを取り出し、下を照らす。
すると奥にキラキラと反射する水面が見えた。そして目の前にはレールに大きなケースがひっかかっている。
それは防火防水ケースに入った<ひまわり>だった。
*
天井から水が流れ込んできて、ダクトスペースが揺れる。
「もう出口はねぇぞ・・・、このままじゃ<芦屋のひまわり>と心中だ・・・」
圧力で盛り上がった壁面から水が吹き出したかと思うと、大量の水が押し寄せてあっという間に体を飲み込む。
大量の水に流され、瓦礫の山に挟まってしまったオレは身動きが取れなかった。
「クッソー!!」
瓦礫の山からなんとか抜け出そうとするが体ががっちりと挟まっていて動けない。
そうこうしている間に水位が上がり、肩まで水がきてしまっている。
このままじゃ一分もしないで溺死だ・・・!
ボールを射出すれば瓦礫からは抜けられるかもしれねーが、水没を防ぐことにはならねぇ。
その瞬間、はっと頭の中で何かが弾けた。
水没だ!!!
これだけ水が流れ込むってことは、ここは既に湖の水位より下にあるんだ。ってことはこの花火ボールで崩落の順序を狂わせれば、圧力のバランスが崩れ、一気に湖へ押し流されるはず・・・!!
「迷ってる時間はねぇ!!!」
ベルトのバックルについたボタンを押した。水の中で膨らんだボールが瓦礫を押しのけていく。
五、四、三・・・・・・
瓦礫を抜けると、ボールを後ろに押しのけダクトスペースを抜ける。
そしてレールから外れ水の中を漂っている<芦屋のひまわり>を見つける。
そしてそのままその<ひまわり>を掴む。
二、一、ゼロ・・・・・・!!!!
花火ボールが爆発し、ダクトスペースから七色の光が放たれる。
同時に激しい水流が一気に押し寄せ、<芦屋のひまわり>と共に渦に飲み込まれる。
爆発した鍾乳洞から飛び出した<芦屋のひまわり>とオレはそのまま水面へと向かっていく。
あと少し・・・・・・、あと少しだ。
必死に息を止めてこらえる。
あと少し・・・っ・・・!!!!
もう限界だった。
ぐはっ!と息を吐き出したオレは、<芦屋のひまわり>から手を離してしまう。
まずい、このままじゃ・・・・・・。
途絶えそうな意識の中で、オレは何かに思いっきり引っ張られた。
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