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ここに帰ってくるのは何日ぶりだろう。


俺が唯一本当の自分でいられる場所・・・・・・。



溜まった報告書をどうにか仕上げ、彼女の待つ家に帰ってきた頃には空が少しずつ夜から朝へと移り変わろうとしていた。

起こしてしまわないように静かに寝室の扉を開けると、何かを抱きしめたまま小さく丸まって眠る彼女。

そっと近づきベッドサイドに腰掛ける。


すーすーと寝息をたてる彼女の腕の中には、俺がよく着ていたシャツが抱きしめられていた。


(寂しい思いをさせているんだな・・・)


寂しさや不満なんて口にしない彼女。でもこの広いベッドでひとりで眠ることに、何も感じていないわけがない。

ぎゅっと握られ少しシワになったシャツに心が痛む。


「・・・・・・っん、零・・・?」

人の気配を感じたのか、彼女はうっすらと瞼をひらき目を擦る。まだ夢とうつつの狭間にいるのだろう、彼女はとろんとした瞳で俺を見る。


「ああ、悪い。起こしたな・・・、もう少し寝てろ」

少しはだけた布団をかけてやる。

すると彼女はそっと俺の手を握った。

「ゆめ・・・じゃなかった・・・。本物の零だ・・・。・・・おかえり」

そう言いながら目尻を下げて笑う彼女。

「・・・っ。ああ、ただいま」

寝起きの少し掠れた声。眠そうに瞬きを繰り返す瞳。俺の手を握る小さな手。


彼女の全てが愛おしいと思えた。
おかえり。そう言って迎えてくれるこの場所が、何よりもかけがえのないものなんだ。

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