もし出会わなければ | ナノ
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▽ 6-4



「・・・なまえさん?なにをしてるんですか?!」

後ろから声をかけられると同時に、体を濡らしていた雨が遮られる。


「・・・・・・昴さん・・・っ・・・」

目の前には少し焦ったような表情を浮かべながら、私に傘を差し出している昴さんがいた。


「こんなに濡れてしまって・・・・・・、風邪をひきますよ」

とりあえずないよりマシでしょう、と自分の上着を脱いで私にかけてくれる。


「・・・ありがとう・・・ございます・・・」
「何があったのかはわかりませんが、とりあえず家に来てください。帰りは送りますので」

そう言いながら昴さんに腕を引かれる。


「昴さん?この人は・・・?」

ふと下から声がして視線を向けると、そこにいたのは眼鏡の少年。


「・・・・・・っ」

周りを見る余裕のなかった私は、その存在に気付かなかった。ここは毛利探偵事務所の近くだ、彼がいたって不思議じゃない。


「彼女は私の友人ですよ。少し訳ありのようなので、ここからはコナン君1人で帰れますか?」
「う、うん。それはいいけど。お姉さん大丈夫?」

どうやら昴さんは、この少年を毛利探偵事務所に送り届ける途中だったらしい。


「うん、ありがとう。心配かけてごめんね」

今の私は笑顔を作れているんだろうか・・・・・・、そんなことを考えながらも心配してくれているであろう彼にお礼を言う。


「では行きますよ」

昴さんはそう言うと、私の腕を引きながらコナン君に背を向け工藤邸へと向かうのだった。

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