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▽ 19-3



仕事を終え携帯を開くと、降谷さんから一通のメールが届いていた。


[暫く忙しくなるから連絡が取れなくなる。何かあったら連絡してきてくれ]


律儀というかなんというか・・・、こうして連絡をくれるということは、まだ彼の心に私はいるんだろうか。


そんな事を考えながら商店街を歩いていると、ふと電器屋の前に並べられたテレビのニュースに意識を奪われる。


『いよいよ開催が目前に迫った東京サミットの最新情報をお伝えします』


元気のいいアナウンサーの声と共に、東京サミットについてのニュースが流れる。参加する海外の要人についてや、サミット会場である統合型リゾートの話題。


もしかして・・・・・・。頭の中で先程の降谷さんからのメールを思い出す。


世界各国から要人達が集まるこのサミット。そんな大掛かりな催しともなれば、きっと公安だって動かないわけがない。

そうなれば降谷さんだって忙しくなるのは当然で・・・・・・、


「・・・・・・そういう事か」


「何がそういう事なの?」
「・・・っ?!コナン君?」


点と点が結びつき、思わず零れた独り言に返事が返ってきて素っ頓狂な声が出る。

視線を声のした方へ向けると、無邪気な笑顔で首を傾げるコナン君の姿があった。


・・・・・・神出鬼没すぎる。心の中でそんな突っ込みを入れつつも、どうにか平常心を取り戻す。


「こんにちは、なまえお姉さん!ニュース見てたの?」
「こんにちは。そうなの、ちょっと気になってね」
「最近ずっとサミットのニュースばっかりだもんね。東京でサミットが開催されるって凄いことなんだね」
「そうだね。サミット会場も何だか凄いところみたいだしね」


ちょうどテレビにサミット会場である“エッジ・オブ・オーシャン”の映像が流れる。


ショッピングモールを中心に、様々な形をした建物が並ぶその場所。巻き貝のような螺旋のタワーに、敷地の外周を周回するモノレール。見れば見るほど、手の込んだその造りに驚きを隠せない。


「・・・・・これだけ大規模な施設だと警備とかも大変そうだよね」
「う、うん。警察の人も大変だよね」

一緒にニュースを見ていたコナン君の声が、幾分か真剣みを帯びる。どこか探られているような居心地の悪さを感じてしまうのは、私の考えすぎだろうか。


サミットのニュースが終わったと同時に歩き出す私達。コナン君の歩幅に合わせて、いつもよりもゆっくりと歩く。


「なまえさんは最近安室さんと会ってるの?」
「んー、ちょっと仕事が忙しくてなかなか会えてないかな。どうして?」
「何だか安室さん最近忙しいみたいで、ポアロでもあんまり見ないから何してるのかなって思ったんだ」
「たぶん探偵業の方が忙しいんじゃないかな?」
「ふーん、そっか!」


こんな理由で彼が騙されるわけないだろうな・・・、と思いつつも一先ずこの話題を終えられたことに心の中で安堵のため息をついた。

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