君がいない隣 | ナノ
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▽ おまけ


久しぶりに彼とと向き合って食事をとる。


「やっぱり美味いな」
「料理は零の方が上手でしょ」


そんな風に言いながらも、私の作った料理を笑って食べてくれる彼の姿に愛しさがこみ上げる。



食事を終え、二人並んでソファに腰掛けてテレビを見ていると突然彼が思い出したかのように私の方を見る。


「どうしたの?」
「聞き忘れていたことがあったんだ・・・」


真剣な瞳に思わずこちらも姿勢を改める。


「な、なに・・・?」
「お前・・・、本当に沖矢昴とは何もないんだな?」

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


「は?」

自分でも間の抜けた声が出たと思う。
そんな私とは逆に真剣そのものの彼。


「だから!本当に奴とは友達ってだけなんだな?」
「そうだよ?よく行く本屋さんで知り合って仲良くなったの」
「ならいいけど・・・、あんまりあの男に近付くなよ?」
「えーっと、理由を聞いてもいい?」


昴さんは大事な友達だ。

零のことでへこんでた私を心配してくれた。

彼のことを忘れられないと泣く私に


『もう一度だけ会いに行ってみてはどうですか?』

と背中を押してくれた。


まぁその結果は喧嘩になってしまったけれど・・・、と零が寝込んでいたあの日のことを思い出す。


「・・・・・・だからだ」
「ん?なんて言ったの・・・?」


いつも強気な彼らしくない呟くような小さな声。


「俺が嫌だからだ・・・!それが理由!」
「・・・ふふっ」
「何がおかしいんだよ」


不貞腐れた子供のように顔を顰める彼の姿に、思わず手が伸びる。


「可愛いなぁって思ったの!」
「・・・なっ!」


そのまま髪を撫でれば、いつもは顔色ひとつ変えない彼の頬が僅かに赤く染まる。


「大好きだよ」
「・・・・・・なんか腹立つな」
「じゃあ言わないもん」


冗談交じりでそう言いながらソファから立ち上がろうとすると、後ろに腕を引かれバランスを崩した私は彼の膝の上に体を預ける形になる。


「俺も好きだから」


そのまま私の身体を強く抱き締める彼。


「なんだか甘くなったよね、零」
「もうあんな思いをするのはごめんだからな」


私が思っていた以上に、この人は私のことを想ってくれているらしい。


言葉や抱きしめる腕の強さからそれが伝わってくる。


「・・・・・・ずっと一緒にいてね」
「当たり前だろ」


そう言い切った彼は、いつもの自信に満ち溢れた私の大好きな彼の姿だった。


Fin


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