青く澄み渡る空の下。運動場ではサッカー部が明日に控える練習試合のためにトレーニングに励んでいる。そんな中、俺と花巻は屋上で二人静かに会話を交わしていた。

「なあ花巻」

「は、はい!」

一言呼んでやるだけで、とても嬉しそうにはにかんでいる。背中合わせに寄り添っていると、花巻の体温も動揺も、今何を思っているのかさえ分かるような気がした。

「パラレルワールドって知ってる?」

「う、うん」

普段どんくさいけれど、知識は豊富。テスト前も教えてもらえることはできるのだが、男は頼られるものだという、自分の変なプライドに邪魔されて未だ頼ったことはない。

「別の世界でも、俺達はこうしてるのかな」

「……わ、分からないけど、そうだと、良い、な…」

青い空に白い飛行機雲が線を描いた。ある昼下がり、俺は別の世界にまで、愛を知らしめようとしている。




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