「ふっ藤く…!」

花巻に呼ばれるのに気づかないふりをして、俺は廊下を足早に歩く。少しめげそうになっているが、大切な用でもあるのか、再び試みようと機会を伺っているあいつ。泣きそうな顔すら可愛い、なんて、俺も歪んでいるのかもしれない。

「あ、花巻。毛虫付いてるぞ」

「え!? ひゃわわわわ」

なーんて、嘘。花巻のリアクションは見ていて飽きない。俺がからかっているのが分かっているのか、アシタバは花巻に気の毒そうな笑みを送っていた。駄目、駄目なんだ、俺。好きな子に可愛いなんて、言える性格じゃないし。ましてや愛の伝え方なんて。

目なんだ、俺

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