最初は私、藤くんが大好きだった。でも所詮、女心は秋の空ね。藤くんを見つめる度に、藤くんと一緒にいるアシタバくんと目が合って、いつの間にか、アシタバくんと目が合う回数を数えてた。 今日も四回見たら、四回とも目が合った。 それが何だかとても嬉しくて、藤くんを見るよりも、アシタバくんを見る方が幸せになれた。 アシタバくん、好きな女の子とか居るのかな… そんなことまで思うようになっていて。これは恋なんだと自覚したの。本当に不思議。今まで藤くんだったのに、気付けば別の人に、今まで以上に想いを寄せていた。 バカな私、と心で笑った。 「あの、花巻さん」 「ふぇ!?」 今、何よりも欲しかった人の優しい声で自分の名前を呼ばれたから、何?と問うのを忘れてしまって。遠慮がちに引かれた手を、ただ見つめるのに精一杯だった。 そして気付けば校庭の隅にある花壇の前に立っていて。 「こ、これ…」 頭をかいて、ゆっくり花壇を指さすアシタバくん。 「…チューリップ?」 最初は何か解らなかった。 でも、ようやく気付いた。 なんだ、私たちの目が合うのは必然だったのね。 (赤い赤いチューリップ) (花言葉は愛の告白) チューリップに負けないくらいに、私たちも紅く染まった。 |