そして、私達が目覚めたのは放課後、夕日が辺りを照らしている頃だった。先生の話によれば、五時間目の休み時間に、一度、城野宮さんがやってきたという。私達の寝顔を見て穏やかに笑うと、そのまま部屋を後にしたらしい。先生が用事出て払った今、保健室には私達二人だけだった。 「まだ俺はトラウマが取れねえ」 藤くんはそう言ったけれど、私は前よりも少し城野宮さんが好きになった。お金持ちで、とっつきにくいと思っていた彼女も、結局は私と同じ、女の子だったんだ。 「わ、私、今度話しかけてみようかな…」 「なっ、お前…」 「だ、大丈夫だよ! もう病魔は先生が退治してくれたし」 「………」 「?」 ふ、藤くんにじっと見つめられている。(た、耐えられない…!!) 「もし、またなんかされたら、…俺に言えよ」 「…………!!」 そのまま、すぐに藤くんは保健室を後にしてしてしまった。顔が赤いように見えたのは、きっと私の思い違いだろう。でも。 「あわわ…」 今の言葉は、素直に受け取って良いんだよね…? 前 次 表紙へ |