ギイ、と重い鉄のドアを開けば、ずっと近くなった黒い空の下、奥に女の子が立っているのが見えた。足が竦む。でも終わらせなければ。私は足を踏み出した。 「…みんなして私を苛める気?」 城野宮さんにいつもの強い眼光は存在していなかった。少し様子がおかしい。 「城野宮さん、終わりにしよう」 先生が近づく。その途端、城野宮さんは柵を乗り越えた。(!!) 「城野宮さん!!」 「来ないで」 先生が近づけば、今にも飛び降りようとする彼女に、身動きがとれない。 「どうして私を誰も気にかけてくれないの」 ぽつり。風に攫われそうな声量で城野宮さんは呟いた。 「どうせ、私なんて、誰にも必要とされないのよ…」 その言葉は、私を目覚めさせた。 「どうして藤くんの隣に立つのが私じゃないの。どうして私は嫌われ者なの」 そうか、彼女は。 前 次 表紙へ |