ハデス先生の後ろに飛び込み、荒れた息を整える。追いかけてきた女子達は、ハデス先生が手を振りかざすと、ひとり、ふたり、とバタバタその場に倒れていった。

「本当に厄介な病魔だ…」

体がぶるぶると震える。涙を堪えていると、藤くんと繋いでいる手が、力強くぎゅっと握られた。(…!)

「おい、このまま城野宮を放っておいたら、真剣に花巻がヤバいぞ」

「うん…そうだね」

ハデス先生は悩んだように考え込むと、すっと私たちに目を向けた。先生の顔のヒビが、心なしか広がっている気がする。

「城野宮さんと話し合おう。彼女から病魔を拒むのを待っている余裕はないね…」

城野宮さんと。城野宮伊織と。彼女の病魔と。ついに向き合うときが来たんだ。病魔に弱みをつけ込まれた城野宮さんに、いつもの姿に戻って欲しい。

「さあ行くよ。…元の世界に戻ろう」

みんなが自分の意志を持つ、あの暖かい世界。絶対に帰るんだ…絶対に。私たちは手を繋いだまま、ハデス先生の後を歩いた。



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