目を覚ますと、一番に見えたのは白い天井。一度見たことのある景色に、保健室であることが分かった。

「……、」

重い体をゆっくりと起こしたとき、目の前の薄いカーテンが開かれる。

「花巻さん、調子はどう?」

現れたのはハデス先生で。ぼうっとする頭を必死で回転させ、今までのことを思い出した。

「あ…、わた、し…!!」

そうだ、城野宮さんに。できれば忘れたかった出来事に、思わず顔を伏せる。

「いきさつは藤くんに聞いたよ。二人と話したいから、こっちへ来てくれる?」

促されるままに、ベッドを降りるとソファに藤くんがいるのが見えた。

「ひゃ! 藤くん!!」

「花巻、大丈夫か?」

「あ、う、うん! あの…あ、あり…っ」

助けに来てくれたことに、お礼を言わないと、と思っているのに口が回らない。

「落ち着け」

苦笑してつっこむ藤くん。私は余計に上がってしまい、持っているノートで顔を隠した。(恥ずかしい…)

「本題へ入っていいかな?」

先生を放って話しこんでいた私は、はっとなって向き直る。先生はどうぞ、と私をソファに座るように勧めた。遠慮をしながらも、ゆっくりと藤くんのとなりへと腰掛ける。(き、緊張する…!)



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