「おーい、どうしてくれるんだよお嬢ちゃん?」 「ごっ、ごめんなさ…!」 三人の三年生の男子に囲まれて、わたしは涙をぽろぽろと流すばかり。内一人にぶつかってしまったというだけで、この様だ。じりじりと逃げ道を探して動くと、バン! と壁に手をつかれ塞がれる。 「はっ、はう…っ」 「逃げようだなんて良い度胸だな」 ガシッと首元を掴まれて、震える体を抱きしめた。 「先輩、イジメは犯罪だぜ」 唐突に聞こえた声。この声は、この声は…。 「藤くん…!」 「その汚い手を離せよ」 視界が霞んで見えない。頭の中は藤くんでいっぱいになって、三年生が隙を見せた瞬間に藤くんの元に走って抱きついた。わたしの珍しく積極的な行動に、藤くんは驚いたようだったけどすぐにぎゅっとわたしを抱きしめてくれて。ああ、もう今死んでも良いなと本気で思ったの。 :: わたしの王子様 |