今日も私は藤くんを追いかける。

移動教室。昼休み。放課後。追いかけて、追いかけて、ふと思ったの。

「…私、何してるんだろう」

後ろから追いかけてばかりで、陰から見つめるばかりで、他の女の子たちのように勇気を出して藤くんの前に行くこともせず、独りよがり。なんだか寂しい。寂しいよ。一人だけでする鬼ごっこは、寂しいよ。

本当は、もっと私を見てほしいのに

だから、次の日はなんとなく、藤くんを追いかけるのをやめた。藤くんのことを考えるのをやめた。

時刻はもう六時を過ぎていて、部活を終えた生徒がちらほらと門から出ていく。藤くんはもうとっくに帰ったんだろう。今日は追いかけていないから、藤くんがどのように今日を過ごしたのか分からない。なんでだろう。寂しい鬼ごっこをやめた筈なのに、私はもっと寂しい。

藤くん藤くん。

胸が痛いの。もう藤くんの背中を見るのは飽きたの。ねえ、藤くん、一度で良いから振り向いて。

:: 一人鬼ごっこ

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