まさか、まさかとは思ったけれど。ベルがこんな仕掛けをするなんて思いもしなかった。事の発端は、ベルが二人きりのパーティーに誘ったこと。その時、何も知らない私は、いつもの通り"ししし"と笑っているベルから招待状を受け取り、内心とてもワクワクしていた。二人きりのパーティーだなんて、なんだか素敵だし。(パーティーじゃない気もするのだけれど)

なのに。

「…………なに、これ」

「うしし、それ料理にふりかけてから食って」

白いテーブルクロスの上には豪華な食事。そこまでは良いけど、なぜか、手元には桃色の粉が入ったあやしげな小袋。

「それふりかけないと食べさせないぜ。ていうか、かけて食え。王子の命令」

「…………」

見るからにあやしい。あやしすぎる。私は彼には見えていないだろう瞳でギラリと睨みつけ、この小袋の正体を聞いた。

「ボンゴレ特製、惚れ薬」

ああ、馬鹿だ。ベルは馬鹿だ。言うやいなや、ベルは料理にその粉をありったけふりかけた。なんてことをしてくれたのよ。もう既に貴方に惚れている私が、さらにこの料理を食べたらどうなるか分かっているかしら? そう心で毒づきながら、私は目の前のケーキに手を付けた。


:: 食べるな危険

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企画サイト様「恋したあの娘は暗殺者」に提出させていただきました( ^o^;)ありがとうございました!

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