「ねえ骸ちゃん」

「なんでしょうか」

「これ見て、素敵でしょ?」

M.Mはひらり、と買ってきたばかりのドレスを見せつけた。骸は落ち着いた様子でそれを見て、クフフと笑う。

「可愛らしいですよ」

「もう、本当に思ってる?」

骸ちゃんはアピールしても、いつも同じ表情、同じ台詞。どれだけ高価な物を着飾っても、どれだけお洒落をしてみても、骸ちゃんの新しい表情を見ることはない。

「ねえ骸ちゃん」

「はい」

「もしあたしが……」

可愛さを失っても、戦闘力を失っても、あなたは振り向いてくれる?

その言葉を口に出すことは出来なかった。自信がなかった。あたしはあのムカつく女のように、骸ちゃんと深い繋がりがあるわけでもなく、犬や千種のような幼なじみでもない。気が付けば、涙がこぼれ落ちていた。

「M.M…?」

皮肉なことに、涙を流すことで骸ちゃんは振り向いた。そして、こう言った。

「僕にとって、君はかけがえのない存在ですよ」

いつも、いざというときには、かけて欲しい言葉をかけてくれる骸ちゃん。ああ、明日はどういう風に振り向かせてやろうかしら!


:: お願い、振り向いて


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