「うげ、やっちまった…」

あー、めんどくせえ。と漏らすのはベルフェゴール。その理由と思われるのが、道端に倒れる内藤ロンシャンだ。

「勢い余った」

一言で言えば"うざい"男。ギャンギャンうるさいので、つい攻撃してしまった。パンテーラに、ロンシャンには手を出すなと言われていたのに。

「ま、いっか」

「………よくない」

「おわっ、ビックリ!」

毎度毎度、気配を消して近づいてくるパンテーラには驚かされる。パンテーラはバタンキュー状態のロンシャンの襟元をつかむと 、引きずって歩き出した。

「なに、どこ行くの?」

「……………家」

ずるずると音がなる中、ベルもパンテーラにのしかかってみせた。後ろから抱きしめているような形になり、パンテーラは抵抗をみせる。

「王子さみしいー」

離れる気配がないため、パンテーラは諦めてそのまま歩こうとしたが、流石に男二人の体重はキツい。

「……ベル」

「ししっ、なに?」

「うざいわ」

ガビーン!とベルはリアクションしてみる。

「そっけねえー。まあ離れないけど」

うざいとまで言われて離れないのは、パンテーラの頬が赤くなっているのを知っているから。


:: 冷酷な照れ隠し


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