又出逢いたいのさ



「きっと」
「きっとよ」
「きっと」

お互い確かめ合うように呟きあったあの日から、もうかれこれ数年の年月が過ぎた。千尋は私のことを、未だ覚えているだろうか。トンネルを抜けて、記憶を無くしてしまっているかもしれない。私たちの思い出は、夢であったと言われれば頷けるような、酷く曖昧で、儚いものなのだから。

彼方の不思議の世界とは違って、此方の世界には人間が沢山いる。そんな中でも、私は簡単に千尋を見つけた。私は全く成長しておらず、相変わらずの童の姿だが、千尋は違った。身長も少し伸びて、髪も短くなっていた。

友人と楽しそうに笑う彼女を見て、私に芽生えたのは安心感と、そして隔たり。

いま、会いにいって良いだろうか。君はまだ私を覚えているだろうか。あのときのように、ハクと呼んでくれるだろうか。

私の中に落ちたときのように、橋の上で千尋を見つけたときのように

願わくは、きっと、

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