とにかく我慢できない



青い空、白い雲、人気のない校舎裏。

「…花巻」

「はっ、はい」

「もうそろそろ我慢の限界だ」

「えっ!?」

「藤が好きだろうと俺はお前が好きだ!!」

放課後、ついに俺は言ってしまった。言ってしまった上に、抱きついた。

「あああ、あのっ、ややや、安田くん…!?」

真っ赤になってるのが可愛くて、可愛くて。抱きついただけでこの反応なら、あの行為をすれば花巻はどうなるんだろうと考えた。考えたことは実践しなければ気がすまない。ということで。

「ひゃあっ!?」

「胸…あれ、胸がねえ」

めげずにガサゴソとベストの上から膨らみを捜索していると、左頬に凄まじい打撃を受けた。

「ぐはっ!」

「ななな、何を…っ」

顔を真っ赤にして目を丸くしながら、花巻の拳は固く握られている。どうやら俺はグーパンチを喰らったらしい。

「だが俺は諦めん!」

「きゃああっ、こここ来ないでくださいっ!!」

必死に逃げる花巻を必死に追いかける俺。なんだこれ、これだとただの変態じゃないか。違う違う!俺は純粋に告白しに来たんだ!
がしりと手首をつかんで引き留めると、花巻の目からはついに涙がこぼれ落ちた。

「わたしスタイルもよくないし、胸もないし…っ!やめておいた方が…!」

早口に紡がれた言葉はそれだった。だから俺も早口で言ってやった。

「胸なら俺が揉んで大きくしてやる!だから付き合ってくれ!!」

正しい告白の仕方なんて、俺は知らん。

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